「職業能力評価基準」活用のすすめ

「職業能力評価基準」とは、仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」を、厚生労働省が国と業界団体と連携の下で、業種別、職種・職務別に整理したものです。採用や人材育成、人事評価、検定試験の「基準書」として利用できるものとなっていますので各企業でカスタマイズして活用できます。
2019年9月、賞与支給の際の評価ツール及び人材育成ツールとして「職業能力評価基準」を取り入れた在宅介護業の「スキル評価シート」を開発して、実際に賞与の査定として運用しました。「自分やスタッフの業務に対する能力レベルの程度」「何が不足しているのか」「業務のポイントは何か」等を具体的に把握することができ、モチベーションの向上、スキルアップに繋がりました。
今回は、ホテル業における宿泊職種を対象として説明していますが、「職業能力評価基準」は、業種横断的な経理・人事等の事務系9職種及び電気機械器具製造業、ホテル業、在宅介護業等の56業種を網羅していますので、活用されることをおすすめします。

[作成した評価シート(ホテル業-宿泊職種)]

テンプレートはこちら→ 「能力評価シート(ホテル業、宿泊)」

[作成した評価シート(在宅介護業-通所介護サービス職種)]

テンプレートはこちら→ 「スキル評価シート(通所介護)」

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職業能力評価基準とは

職業能力評価基準

職業能力評価基準では、仕事の内容を「職種」→「職務」→「能力ユニット」→「能力細目」という単位で細分化しています。そのうえで、成果につながる行動例を「職務遂行のための基準」、仕事をこなすために前提として求められる知識を「必要な知識」として整理・体系化しています。

職業能力評価基準の体系

(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

職種

「ホテル業」では多くの職種・職務の職業能力評価基準が公開されています。ホテル業の職種では「宿泊」,「レストラン」,「宴会」,「営業・マーケティング」,「施設管理」,「環境対策」,「危機管理」,「経営戦略」の8つの職種が紹介されています。

職業能力評価基準の全体構成(職種)
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

職務

「宿泊」の職種では「ロビーサービス」,「コンシェルジュ」,「フロントオフィス」,「客室予約」,「ハウスキーピング」として5つの職務が紹介されています。

職業能力評価基準の全体構成(職務)
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

レベル

職業能力評価基準では、能力ユニットごとの「能力細目」「職務遂行のための基準」「必要な知識」の設定にあたり、企業において期待される責任・役割の範囲と難易度により、4つの能力段階(「レベル区分」)を設定しています。

職業能力評価基準(レベル)
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

能力ユニット、能力細目、職務遂行のための基準

共通能力ユニット

能力ユニットでは、同じ能力ユニット名でも、期待される責任・役割の範囲と難易度で、レベル1からレベル4まで定義されています。

共通能力ユニット
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))
選択能力ユニット

選択能力ユニットでは、職務ごとに期待される責任・役割の範囲と難易度で、4つのレベルで定義されています。

選択能力ユニット
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

職業能力評価基準の全体像

職業能力評価基準の全体像
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職業能力評価シートの構成

職業能力評価シートとは、職業能力評価基準を簡易なチェック形式の評価シートにしたものです。人材育成に有効な示唆を得ることができる活用しやすいチェックシート型ツールです。
「自分の(または部下の)能力レベルはどの程度なのか」「次のレベルにいくには何が不足しているのか」を具体的に把握することができ、定期的にチェックすることで習熟度を把握することができます。在宅介護業、電気通信工事業、ホテル業等、16業種が公開されています。厚生労働省の公開している職業能力評価基準を取り入れた評価シートについて、その内容と構成について解説をします。

職業能力評価シートの構成

職業能力評価シートは、各レベルに求められる基準の全体像を把握し、習熟度をチェックすることができる「評価シート(本体)」と、本体の具体的な知識や能力を記載した「サブツール」の2つのシートにて構成されています。「評価シート(本体)」は簡便にチェックできるよう基準の概要のみ記載しています。具体的に求められる知識や能力基準については、「サブツール」を参考とします。

評価シートとサブツール
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

職業能力評価シートの分類

職業能力評価基準を簡易なチェック形式の評価シートとした「職業能力評価シート」は、職業能力評価基準に同じく、「職種」,「職務」,「レベル」毎に用意されています。ここでは、ホテル業の宿泊の職種の評価シートについて説明します。

職業能力評価シートのダウンロード
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

※評価を行う場合は、どのスタッフが、どの種類の、どのレベルのシートを使うのかを決定することが必要です。

職種

職業能力評価基準(職種)
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

職務

職業能力評価基準(職務)
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

レベル

職業能力評価基準(レベル)
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

職業能力評価シートの評価項目

職務は、能力ユニット毎に評価項目が設定されています。能力ユニットは、所謂、業務内容と考えられます。例えば、経理という職種でいえば、毎日の仕訳けを行う簿記業務に、決算書などを作成する財務諸表や原価計算などの業務などがあります。従って、担当している業務や、担当していない業務もありますので、どのスタッフがどのシートで評価するのかを適切に選択することが必要です。
例えば、Aさんは「ロビーサービスのお荷物の預かり(クローク)」の評価シートを選択しますが、Bさんは担当業務として「ロビーサービスのお荷物の預かり(クローク)」と「職務:ロビーサービスのお客様の送迎(ドア)」も選択します。

職業能力評価シートの評価項目

キャリアマップ

キャリアマップとは、職業能力評価基準で設定されているレベル1~4をもとに、該当業種の代表的な職種における能力開発の標準的な道筋を示したものです。キャリアマップでは、 [1]キャリアの道筋と[2]各レベルの習熟の目安となる標準年数が一目で分かるようになっています。

キャリアマップ

キャリアマップは、従業員に対してキャリア形成の道筋を示すことによって、将来のキャリアに関する目標意識を高め、その実現に向けた具体的な行動を促すとともに、上司と部下との間のキャリア形成についてのコミュニケーションを活性化することで、効率的・効果的な技術・技能の習得を実現する「人材育成」への活用を主たる目的としています。
(出典:厚生労働省ホームページ(職業能力評価基準))

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