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意外と知らない退職時の社会保険料の控除

6月23日付けで、社員が退職となりました。末締めの翌15日払いの為、給与明細書を発行しましたが、退職した方は、6月は4日しか出勤しておらず、社会保険料の方が高く、差引支給額が885円のマイナスとなってしまいました。
あらためて、出勤簿と提出された「退職届」を確認すると、6月23日付けの退職で、末の退職ではありません。つまり、6月分の社会保険料の徴収は必要ないことがわかりましたので、給与明細書を再発行して事なきを得ました。
社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)の保険料は、会社と本人が折半して負担します。会社は毎月、社員の給与から本人負担分を控除して、会社負担分と合わせて国に納付します。が、社員の退職時には注意が必要です。

例:
5月2日に正社員として入社し、6月1日より時給=850円のパートタイマーとなり、6月23日付けで退職となった。
標準報酬月額:170,000円(5月に正社員として入社の為)
退職日:平成30年6月23日

[ 間違った給与明細書 ]
月末以外の退職にもかかわらず、6月分の社会保険を控除していた。

間違った給与明細書

[ 正しい給与明細書 ]
月末以外での退職につき、6月分の社会保険は控除しない様に訂正した。

正しい給与明細書
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社会保険料の控除

従業員が負担する保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生し、事業主は、毎月の給与から前月分保険料を控除することができます。(引用:日本年金機構)

社会保険の加入期間は月単位でカウントされ、月末が退職日であれば、その月まで、月末以外が退職日であれば、その月の前月までが加入期間となります。

入社時の社会保険料

社会保険料は、1ヶ月単位で計算し、日割り計算は行いません。つまり、月の途中で入社した場合は、1日のみの出社であっても、1ヶ月分の保険料がかかります。例えば、4月29日の入社であっても、翌月支給の給与から4月分の社会保険料を納めます。

退職時の社会保険料

社会保険の資格喪失の日は、退職日の「翌日」とされています。よって月末退職の場合は、その翌日である翌月1日が資格喪失日となります。つまり、社会保険料は資格喪失月の前月分までのものが徴収され日割計算は行いません。

以下、末締めの翌15日払いの会社を例とすると、

4月30日に退職した場合

資格喪失日は、翌日である5月1日となりますので、5月に支給する給与(4/1-4/30日)から4月分の社会保険料を控除します。

4月29日に退職した場合

資格喪失日は、翌日である4月30日となりますので、その前月分である3月分までの徴収となり、5月に支給する給与(4/1-4/30)から社会保険料を徴収する必要はありません。

留意:
雇用保険料は、社会保険料の控除とは異なり、給与が支給されるたびに、その支給額に基づく保険料額を控除することとなっています。つまり、社会保険料を控除しない場合であっても、雇用保険料の控除は行うこととなります。

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月末以外の退職が得か?

例えば、4月30日で退職した場合は、資格喪失日は5月1日となりますので、資格喪失日の属する月の前月まで、つまり、4月分の社会保険料が徴収されます。が、4月29日の退職の場合は、資格喪失日は4月30日となりますので、資格喪失日の属する月の前月、つまり、3月分の社会保険料までの徴収で、4月分の徴収はありません。同じ月の退職であっても、退職日が月末か否かで社会保険料が1ヶ月分異なってきます。
例えば、40歳未満で標準報酬月額=300,000円とすると、1ヶ月分の社会保険料は42,795円。(協会けんぽ福岡支部の場合)となります。
注意:
健康保険料が15,345円で、厚生年金保険料が27,450円となり、合計42,795円(平成30年3月分:4月納付分)

結構な金額です。この1ヶ月分が給料から控除されるか控除されないかの違いとなります。

一見、得な様な気がしますが、社会保険料を納めなくとも良い代わりに国民年金と国民健康保険を納めることとなります。国民年金と国民健康保険は、社会保険の資格を喪失した月から徴収されますので、得になるという訳ではありません。さらに、給料からの控除であれば、会社との折半の為、半分は会社の負担であることを考えると、十分に考える必要があります。