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残業の発生しない年間休日の 求め方

有給ではなく、いわゆる公休(会社の年間休日)が何日あるのか?は、労働者にとって重要な労働条件の1つで、気になるところです。
1年は52週ありますので、土日休みとして104日(52週×2日)に、祝日16日(元旦含み、土日を重複させないようにカウント)加えると120日、つまりカレンダー通りの休みだと120日前後となります。社員にとっては、年間休日は多い方が良いに決まっていますが、会社にとっては、多く働いてもらう方がありがたいのが本音です。そこで、年間休日の下限を考えながら、同じ給料(残業が発生しない)で働いて頂くのに、最も適した年間休日を求めてみます。

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年間休日の求め方

年間休日数の下限

年間休日数は、法定労働時間をフルで働いた場合は、105日となります。労働基準法では、法定労働時間は、1日8時間、1週間40時間と定められています。(注意:一定規模以下の特定業種に関しては、44時間)
よって、以下により、計算します。

365日÷7日/週×40時間=2,085.7時間・・・・・・・・・・・・・・年間の法定労働時間
1日の所定労働時間を8時間とすると、2,085.7÷8=260.7日・・・・ 年間の法定労働日数
よって、365日-260日=105日・・・・・・・・・・・・・・・・・・年間の休日日数

変形労働制の導入

多くの中小企業では、完全週休2日制を導入することは難しい為、月又は年を単位として平均して1週間の労働時間を40時間以下にするという変形労働時間の制度が導入されています。

1年単位の変形労働制

1年単位の変形労働制を導入すれば、週40時間を超えない為、年間休日=105日で問題はありません。
1日の所定労働時間が8hとすると、年間休日=105日の場合
260日×8h=2,080h/年間→2,080h÷52.14週=39.89時間→40hを超えていない。

1ヶ月単位の変形労働制

1ヶ月単位の変形労働制を導入して、1ヶ月平均を1週40時間内に抑えることができれば残業手当の支払いは免除されます。
この場合、1ケ月毎に以下の労働時間内で、1日毎の労働時間を決めることができます。
ア.31日の月・・・40時間×31日÷7=177.1時間
イ.30日の月・・・40時間×30日÷7=171.4時間
ウ.29日の月・・・40時間×29日÷7=165.7時間
エ.28日の月・・・40時間×28日÷7=160.0時間

例:例えば、4月は暦日で30日ありますので、171.4時間までは1日の所定労働時間を設定できます。20日の所定労働日数の場合は、1日を8.5時間としても、8.5×20=170hとなりますので、通常9:00-18:00の8時間を超えると残業となっていたのが、1ヶ月単位の変形労働制を導入すれば、8.5時間を超えなければ残業とならなくできるのです。

1日8時間、週40時間の真意

1日8時間、週40時間を超えると違法となるわけではありません。よく、労基法違反となるのでは?と聞かれますが、1日8時間、週40時間を超えると残業代が発生するという事で、違反ではありません。もちろん、残業を行う場合は、三六協定の締結は必要ですが・・・

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年間休日数=107日とする。

さて、年間休日=105日として、具体的に休みを各月に割り当ててみます。
以下が、年間休日=105日を割り当てた結果です。

年間休日105日の月別勤務日数表

1年単位の変形労働制を導入している場合は、前述の如く、年間2,080h÷52.14週=39.89hと、40時間をこえていませんので、残業は発生しません。
が、1ヶ月単位の変形労働制の場合は、1年でなく、1ヶ月毎に40時間を超えているか否かで判断する為、年間休日を105日として各月に割り当てると、上記の如く、2月と4月で、40hを超えてしまいます。
つまり、年間休日=105日では、2月と4月において、超えた時間は残業が発生します。
例えば、4月であれば、176h-171.5h≒5hが残業となり、社員数40名とすると、200h分の残業代が発生します。もちろん、1ヶ月単位の変形労働制の為、2月と4月については、例えば月初の10日間は8時間勤務のところを7.5時間勤務として、月間5hを調整することで対処することはできますが・・・

そこで、年間休日=105日ではなく、107日として、2月の勤務日数を20日、4月の勤務日数を21日とすると、各月共に40時間を超えることはなくなります。以下が、年間休日=107日を割り当てた結果です。

年間休日107日の月別勤務日数表

もちろん、2月と4月で休日を1日増やすことは、勤務日数を減らすことですから、会社として可能か否か?の判断が必要です。難しいようであれば、年間休日は105日のまま前述の如く、超過する労働時間については、残業代を支払うか?調整するか?の選択、又は、1年単位の変形労働制の導入を検討することが必要です。

実際の運用

2018年04月01日より、年間休日を105日から107日に変更しました。

社内への案内

シフト制の為、月々の労働日数を社内に案内します。

社内通達

人事マスタの設定変更

給与システムを導入されている場合、年間休日の変更が発生した場合は、当該労働日数の設定等の改訂が必要となります。月給者(日給月給)の残業や欠勤控除、遅刻早退の場合の控除額算出の為の時間単価等の計算が変わってくる為です。

人事マスタ設定変更画面