「スキル評価シート」は、厚生労働省が公開している職業能力評価シートを実務で運用できる様にカスタマイズして評価結果を自動集計し、合否を判定するなど関数を設定したチェック形式の実務シートです。今回、「職業能力評価基準」を昇給・昇格や賞与の査定として人事評価に取り入れられる様に公開されている「職業能力評価シート」を参照して、「スキル評価シート」を作成しましたので、評価シートとその作成方法について、ご紹介します。今回は、在宅介護業の通所介護サービス職種を対象として「スキル評価シート」を開発しました。
「職業能力評価基準」とは、仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」を、厚生労働省が国と業界団体と連携の下で、業種別、職種・職務別に整理したものです。採用や人材育成、人事評価、検定試験の「基準書」として利用できるものとなっています。この「職業能力評価基準」を簡易なチェック形式の評価シートにしたものが、「職業能力評価シート」となります。在宅介護業、電気通信工事業、ホテル業等、16業種が公開されています。
(厚生労働省 職業能力評価基準)
こちらでは、スキル評価シートV3.0(通所介護サービス)の作成方法について解説しています。スキル評価シートの使い方については、以下を参照下さい。
テンプレートは、こちら→ スキル評価シートV3.0(通所介護サービス)
スキル評価シートの設定
厚生労働省が公開している職業能力評価シートを参考に、人事評価として使用できるスキル評価シートを作成します。「スキル評価シートV3.0」ではレベル毎の評価シートを作成して、受けたレベルの評価シートで、認定条件をクリアすれば当該レベルを認定するという評価方法を採用します。つまりレベル2の評価シートで評価して、認定条件をクリアすれば「レベル2として認定する。」という評価方法です。
注意:
昇給や賞与へ反映する場合は、例えば、L1ならば25%、L2ならば50%、L3ならば100%等レベル毎に反映率を設定するのが良いでしょう。
スキル評価シートの対象設定
職種・職務の設定
「在宅介護業」では以下の5つの職種・職務の職業能力評価基準が設定されています。ここでは、在宅介護業の通所介護サービスの入力シートを作成します。
留意:
運用では、介護スタッフ用として通所介護サービス、事業所管理者向けとして介護サービス事業管理(事業所)を作成します。
目標レベルの設定
レベル4については、専門職としてのスーパーバイザー向けと、事業所の管理者向けを用意します。
通所介護サービス(介護スタッフ)のレベル設定
作成する入力シートのレベルは、通所介護サービスの介護スタッフ用は、レベル1,2,3,4の4種類作成します。
通所介護サービス(管理者)のレベル設定
作成する入力シートのレベルは、通所介護サービスの管理者用はレベル4のみとします。
スキル評価シートの構成
スキル評価シートの全体構成
「スキル評価シート」は「基本情報シート」,「入力シート」,「評価結果」,「コミュニケーションシート」で構成、その内の「入力シート」で職業能力評価基準を取り入れています。
スキル評価シートの構成要素
基本情報シート
評価対象者の氏名、職種、等級、入社年月日等を設定するシートで、フォームは全て同一です。(レベルタイトルと貼り付けた設定レベルの表が異なるのみ)
※ここでは、通所介護サービス職種のL1,L2,L3,L4の4つのレベルの基本情報シートを表示しています。
入力シート
入力シートは、「共通能力ユニット」と「選択能力ユニット」から構成されます。この入力シートで、厚生労働省の職業能力評価基準を採用しています。
注意:
接客サービス職種では、L1,L2,L3,L4の4つのレベルがありますが、入力シートでは、各々のレベルの基準を記載しています。
ここでは、選択能力ユニットの表示は省略しています。
評価結果シート
評価結果シートは、入力シートの評価結果を集計し、レーダーチャートとして表示したものです。各職業能力評価シートに記載されている「レベル判定の方法」を自動判定させる為に○、△、×の数を集計して合否判定して「判定結果」を表示させています。さらに、昇給・昇格、賞与の査定に利用できる様に「達成率」と「評価」も、自動で表示させています。
コミュニケーションシート
課題特定・目標設定
スキルレベルチェックグラフを参考に本人と上司とで話し合い、「課題特定・目標設定」を行います。目標設定の際には「いつ」「何を」「どこまで」行うかを明らかにし、具体的な目標を立てましょう。
実績確認
コミュニケーションシートの最下段の実績確認欄は、次回の評価の際に、「課題特定・目標設定」で掲げた目標がどの程度達成されているかを評価します。
職業能力評価基準の収録
「スキル評価シート」では、厚生労働省が公開している「職業能力評価基準」を一覧表にまとめた「職業能力評価シート一覧」を収録しています。
職業能力評価シート一覧のダウンロード
スキル評価シートへの収録
「スキル評価シート」に収録している「職業能力評価基準」は、「職業能力評価シート一覧」がある場合は、これを収録しています。
但し、「職業能力評価シート」が用意されてない場合や、評価基準がない場合は「職業能力評価基準」を参照して収録します。
注意:
例えば「職業能力評価シート一覧」の選択ユニットには「認知症ケア」という選択ユニットはありませんので、詳細な職業能力評価基準を参照して追加しています。
共通能力ユニット
選択能力ユニット
「選択能力ユニット」も、「職業能力評価シート一覧」を参照(転記)していますが、そのベースであるレベル毎の詳細な職業能力評価基準も参照しています。
注意:
「職業能力評価基準」に記載されている内容とそれをまとめた「評価シート一覧」の内容が異なる場合もありますので、適宜、適切な基準を選択して記載します。
スキル評価シートの作成方法
基本情報シートの作成
シートの作成
評価対象者の氏名、職種、等級、入社年月日等を設定するシートで、フォームは全て同一です。(レベルタイトルと貼り付けた設定レベルの表のマーカーが異なるのみ)
※レベルタイトルは、それぞれの「能力評価シート」のレベル表のマーカーで決まっています。
レベル表は、職業能力評価基準でダウンロードしてファイルの中の「25_在宅介護業_様式1・2.xls」に格納されていますので、これを元に貼り付け表を作り、貼り付けます。
シートの設定
以下はシートの設定情報です。(使用するプリンタによりポイントは調整願います。)
入力シートの作成
在宅介護業の通所介護サービス職種の入力シートは、職務、能力ユニット(担当業務)、レベル毎に作成しますので、何頁となるかは能力ユニットの職業能力評価基準の数により異なります。
入力シートのフォーム設定
入力シートの列の幅
入力シートの列の幅は、以下の通りです。
入力シートの行の高さ
入力シートの行の高さについては、入力する文章により1行で済んだり2行となったりしますので、文章に合わせて適宜、調節します。
※全てのページで、概ね以下の規則で設定しています。
共通能力ユニットの作成
共通能力ユニットは、職業能力評価シート一覧の共通能力ユニットの内容を入力シートへ転記して作成します。
選択能力ユニットの作成
選択能力ユニットは、「通所介護」と「通所介護(技術)」を作成します。
通所介護
選択能力ユニットも、職業能力評価シート一覧の選択能力ユニットの内容を入力シートへ転記して作成します。
通所介護(技術)
選択能力ユニットも、職業能力評価シート一覧の選択能力ユニットの内容を入力シートへ転記して作成します。
入力シートの編集
入力シートが完成したら、評価項目にオプションボタンを挿入します。
留意:
オプションボタンの挿入方法については、別ブログ「Excelフォームコントロールのオプションボタンの挿入方法」を参照下さい。
オプションボタンの挿入
「本人評価」、「上司評価」の「○、△、×、-」の各セルにオプションボタンを挿入して、クリックするだけで選択できるようにします。
リンクするセルの指定
リンクするセルの指定を行い、選択№を表示させます。つまり、この選択№により「本人評価」、「上司評価」を自動算出するように関数設定します。
留意:
関数設定が終わりましたら、選択№は文字色を白にして見えない様にします。(入力シートの入力項目ではない為)
入力シートの完成
通所介護サービスの入力シートが完成です。「本人評価」、「上司評価」の各セルの「○、△、×、-」のオプションボタンを選択できるようになりました。次は選択№によって自動的に「本人評価」、「上司評価」を算出できるように「関数設定」を行います。
共通能力ユニット
選択能力ユニット[(通所介護)]
選択能力ユニット[通所介護(技術)]
評価結果シートの作成
シートの作成
シートの設定
以下は、シートの設定情報です。(使用するプリンタによりポイントは調整願います。)
コミュニケーションシートの作成
シートの作成
シートの設定
以下は、シートの設定情報です。(使用するプリンタによりポイントは調整願います。)