再就職手当を受給された方で、前職の給料よりも再就職先の給料が少ない場合は「就業促進定着手当」の支給を受けることができます。再就職した際に、前職の給料よりも少ないことはよくあります。それを補てんしてくれるありがたい制度があります。それが再就職手当をもらった人を対象として、追加でもらうことのできる「就業促進定着手当」です。再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日から申請できますので、早めに準備して申請しましょう。
支給対象者
以下の条件をすべて満たしている方
- 再就職手当の支給を受けていること
- 再就職の日から、6か月以上雇用されていること
再就職手当の支給を受けた再就職の日から、同じ事業主に6ヶ月以上、雇用保険の被保険者として雇用されている事。 - 再就職後の賃金額が、離職前より低下していること
所定の算出方法による再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること。
注意:
失業保険の計算に用いる賃金日額の計算式と似ていますが、異なります。失業保険の計算では、賃金支払い基礎日数が11日以上ない月は賃金日額の計算に含めずに計算しますが、再就職手当にはこれはありません。
支給額の計算
就業促進定着手当の支給額は次の計算式で計算されます。
離職前の賃金日額
但し、賃金日額の上限を超える場合は、上限額、下限額より低い場合は下限額となります。毎年、8月1日に改定されます。
2024年4月3日現在は以下の通りです。
[上限額]
- 離職時の年齢が30歳未満の方 :13,420円
- 離職時の年齢が30歳以上45歳未満の方:14,910円
- 離職時の年齢が45歳以上60歳未満の方:16,410円
- 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方:15,650円
[下限額]
全年齢共通:2,470円
※平成29年8月1日~平成30年7月31日まで。毎年8月1日に改定されます。
再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額
末締めの翌15日払いの会社に、9月11日に正社員(日給月給者)として再就職して、以下の賃金をもらった場合
月給の場合
注意:
就職日が賃金締切日の翌日でない場合、就職後最初の賃金締切日後の6ヶ月分の賃金の合計(総支給額)
日給・時給の場合
次の(a),(b)の内、どちらか金額の高い方
(a).再就職後6ヶ月間の賃金の合計額÷180→1,140,000÷180日=6,333.33
(b).再就職後6ヶ月間の賃金の合計額÷賃金支払い基礎日数×70%→1,140,000÷129日×70%=6,186.04
よって、このケースの場合は、6,333円となります。
注意:
「再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額」が、離職前の賃金日額の上限額を超える場合は上限額を超える場合は上限額、下限額より低い場合は下限額となります。
再就職後6か月間の支払基礎となった日数
原則、月給制の場合は暦日数(30日、31日など)、日給月給の場合はその基礎となる日数、日給制・時給制の場合は労働の日数
計算例
具体的な計算
離職前の賃金日額 =7,937円
再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額 =6,333円
再就職後6ヶ月間の支払基礎となった日数 =129日
よって、「就業促進定着手当」は、206,916円をもらえる計算となります。
上限金額の制限
支給額には、上限があります。
基本手当日額
基本手当日額にも上限が設定されていますので、上限を超えている場合は上限額となります。
離職時の年齢が60歳未満の方 →6,070円
離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方→4,914円
※平成29年8月1日~平成30年7月31日まで。毎年8月1日に改定されます。
※基本手当日額の変更
基本手当日額の変更の計算方法は、以下の通りです。
「雇用太郎さん」の離職時の年齢は、56歳なので、以下「離職時の年齢が45歳~59歳」に該当します。
よって、計算式は、y=(-W²+24,140W)/24,000
数値をあてはめると
基本手当日額(y)=(-賃金日額(w)²+24,140×賃金日額)÷24,000
基本手当日額(y)=(-7,937²+24,140×7,937)÷24,000
基本手当日額(y)=(-62,995,969+191,599,180)÷24,000
基本手当日額(y)=(128,603,211)÷24,000
基本手当日額(y)=5,358.467≒5,358
支給残日数
「受給資格者証」の裏面に記載されています。
支給額の振込
申請後、約2週間で口座に振り込まれます。
申請期間
再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月間
申請先
再就職手当の支給申請を行ったハローワーク(郵送での申請も可)
申請書類
就業促進定着手当支給申請書
ハローワークのサイトで、内容を入力して申請書を印刷することができます。
注意:
就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締切日後の6ヶ月分、つまり、就職した9月11日は、賃金締切日の翌日ではない為、最初の賃金締切日後の6ヶ月分となり、10、11、12、1、2、3月分まで必要となります。
雇用保険受給資格者証
就職日から6ヶ月間の出勤簿の写し
就職日から6ヶ月間の給与明細又は賃金台帳の写し
注意:
就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締切日後の6ヶ月分、つまり、就職した9月11日は、賃金締切日の翌日ではない為、最初の賃金締切日後の6ヶ月分となり、10、11、12、1、2、3月分まで必要となります。