労働者名簿とは、法定3帳簿のひとつで労働基準法第107条によって、従業員を雇う場合に作成・整備が義務づけられいる書類で、整備の有無は労働基準監督署のチェックの対象となります。今回は、V1.0から大幅に改善・改良してバージョンアップを図った「労働者名簿v2.0」のご紹介です。通常、A4、1枚に1人を記載する一品一葉の様式が多いのですが、必要な項目が記載されていれば、様式に規定はありませんので、一覧性のある多品一葉の様式として作成しています。修正したい行でダブルクリックすることで、専用の入力フォームが立ち上がり修正を簡単に行えるようにしています。
動画解説は、こちら→ 「労働者名簿の使い方」
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労働者名簿とは
労働者名簿の対象者
対象となる人
労働基準法第9条によれば、「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者」となっています。つまり賃金を支払っている労働者全てが対象となります。
対象とならない人
派遣社員については、賃金は派遣元が支払いますので、名簿の作成は不要です。また、日雇い労働者は、107条の記載にあるように例外として名簿の作成は不要です。
労働者名簿の記載項目
記載事項
労働者名簿は、労働基準法第107条、労働基準法施行規則第53条によって、以下の項目の記載が義務付けられています。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 履歴
社内での履歴(昇進・異動など)を記載。法的な決まりはありません。 - 雇入の年月日
- 退職の年月日及びその事由
起算日(従業員の死亡・退職・解雇の日)から3年間は、名簿を保存する義務がありますので、退職日とその理由を記載しておきます。
※自己都合での退職の場合は、特に理由を記載する必要はありません。 - 死亡年月日及びその原因
従業員が在職中に死亡した場合、亡くなった日とその原因を記載します。死亡原因が労災に当たるかどうかを調べるために必要です。
記載様式
必要事項が記載されていれば、どのような書式・様式で作成しても構いません。1人1枚ずつ作成する必要はなく、縦に何人も記載していく一覧性の書式でも構いません。
パソコンでの作成
労働者名簿も、次の条件を満たしている場合は、パソコンでデータとして管理することが認められています。
- 必要な事項が記載されていること。
- 画面に表示して記載内容を確認できること。
- 労働基準監督官から求められたときは、直ぐに印刷して提出できること
労働者名簿の保管
労働基準法により、労働者名簿は「事業所ごとに作成しなければならない」と定められています。そのため、労働者名簿は本社で一括して全従業員分を作成・保管するのではなく、各事業所ごとに作成し、それぞれで保管しなければなりません。
労働者名簿の初期設定
労働者名簿v2.0の構成
労働者名簿は、在職者シートと退職者シート、システムシートで構成されており、退職した時点で在職者シートから退職者シートへ移します。(在職者のみで印刷したい為)
留意:
退職者シートは使用しなくとも良いです。介護業界は離職率が高く、入社・退社の異動が頻繁だった為、退職者シートに移さなければ印刷した際に非常に見づらくなる為にシートを別にしていました。
注意:
システムシートは、在職者シート及び退職者シートの中で、職務等の項目のリストボックスとして使用していますので、削除しない様に願います。尚、システムシートは非表示としています。
労働者名簿の初期設定
ウィンドウ枠のデフォルト設定
行の固定
デフォルトで、入力しやすくする為に、常にタイトルが見える様に3行目までを固定としています。
列の固定
デフォルトで、入力しやすくする為に、A列からC列は常に見える様に固定しています。
ウィンドウ枠の固定解除
解除は、「表示」タブから「ウィンドウ枠の固定」を選択して、「ウィンドウ枠固定の解除」をクリックします。
ウィンドウ枠の固定設定
ウィンドウ枠の固定設定の方法を説明します。
セルの選択
ウィンドウ枠を設定したいセルをクリックします。例えば、3行目まではタイトルなので下の行にスクロールしても固定で表示して、A列からC列は名前なので、項目を右にづらしても常に表示しておきたい場合は、4行目のD列のセルをクリックします。
ウィンドウ枠の固定
固定は、「表示」タブから「ウィンドウ枠の固定」を選択して、「ウィンドウ枠の固定」をクリックします。
注意:
セルF1は、関数で本日の日付を表示しています。この日付を元に、生年月日から年齢を計算していますので、削除しないで下さい。
労働者名簿の入力フォーム
労働者名簿v2.0では、編集のしやすさを考慮して、専用の入力フォームを用意しています。ここでは、専用の入力フォームについて解説します。
入力フォームの起動
変更・修正の対象の行でダブルクリックすると、表示されます。
起動の制約
社員№が入力されていない場合は、入力フォームは表示されません。
社員№のみ入力されていれば、入力フォームは表示されますので、新規の労働者の登録で、全ての項目を入力フォームで行うこともできます。その場合は、社員№を入力した後、ダブルクリックして下さい。
入力フォームの構成
入力フォームは、項目によって「会社情報」のページと「個人情報」のページに分かれていますので、ダブルクリックした項目の含まれるページがデフォルトで表示されます。
会社情報ページ
社員№から保有資格までで、ダブルクリックすると、「会社情報」のページがデフォルト表示されます。
個人情報ページ
電話番号から退職理由(死亡原因)までで、ダブルクリックすると「個人情報」のページがデフォルト表示されます。
入力フォームの終了
「更新」をクリックするか右上の×で閉じます。
入力フォームの内容を変更した場合は、「更新」をクリックします。対象の行を間違えて表示した場合は、×で閉じます。
労働者名簿の登録・編集方法
労働者名簿では、Excelシートの項目に沿ってそのまま入力する方法(Excel編集モード)と、専用の入力フォームから入力する方法(入力フォームモード)を選択できますので、使いやすい方法で登録・編集することができます。ここでは、2つの入力方法について解説します。
労働者の登録時は、「Excel編集モード」で登録して、編集する場合は、「入力フォームモード」で編集するのがお薦めです。
Excel編集モード
通常のExcelシートの入力です。Excelシートの項目に沿ってそのまま入力する方法です。
「入力フォーム」を起動させない為に、社員№は最後に入力して下さい。
留意:
社員№が入力されていると、ダブルクリックすると「Excel編集モード」が解除され、入力フォームモードに切り替わる為です。
例示:
Excel編集モードでは、項目のセルに直接入力することができます。例えば、「入社年月日」の項目は、H列の4行目に直接に「入社年月日」を入力して、間違えた場合は、H列4行目のセルをダブルクリックすることで、編集することができます。
入力フォームモード
変更・修正の対象の行をダブルクリックすると、表示されます。
社員№のみ入力されていれば、入力フォームは表示されますので、新規の労働者の登録で、全ての項目を入力フォームで行うこともできます。その場合は、社員№を入力した後、ダブルクリックして下さい。
入力フォームモードが起動すると、「Excel編集モード」は解除されますので、セルをダブルクリックしても、入力フォームが起動して、セルを直接編集することはできません。
入力フォームで編集するのが基本です。が、セルを直接編集はできませんが、A欄で編集することはできます。
労働者名簿の登録・編集項目
労働者名簿の登録・編集項目の設定方法について解説します。ここでは、各項目の設定方法をExcelシートの項目に沿ってそのまま入力する方法(Excel編集モード)で解説します。
会社情報
社員№①、氏名②、ふりがな③
社員№は、最後に入力して下さい。(識別できれば何番でもOKです)
注意:
社員№を入力しているとダブルクリックすると「入力フォーム」が起動してセルを直接編集できなくなります。「入力フォーム」で入力していくのであれば問題ありませんが、登録時はセルの直接編集の方が楽でお薦めします。
留意:
登録した内容を変更・修正する場合は、「入力フォーム」を起動して編集するのが楽ですので、「入力フォーム」を起動できる様に登録の最後に必ず「社員№」を入力します。
(「入力フォームを開いて編集することがなければ、社員№を省略しても構いません)
性別④
男性、女性のいづれかに1を入力します。
生年月日⑤
1987/06/02という形式で入力して下さい。
年齢⑥
生年月日⑥を入力すると、自動で計算して表示します。
入社年月日⑦、勤続年数⑧
入社年月日⑦は、2016/08/02という形式で入力します。勤続年数⑧は、入社年月日⑦を入力すると、自動で計算して表示します。
従事する業務の種類
職務⑨、職種⑩をそれぞれリストボックスから選択します。
所属⑪、勤務形態⑫
所属⑪、勤務形態⑫をそれぞれリストボックスから選択します。
雇用形態⑬、加入⑭
雇用形態⑬及び社会保険の加入状況⑭は、それぞれ該当する場合は、1を入力します。
保有資格⑮
お持ちの資格欄に1を入力して下さい。
個人情報
本人の連絡先
電話番号⑯、郵便番号⑰、住所⑱を入力します。
電話番号⑯
自宅又は、携帯番号を入力します。
注意:ハイフォン付きか否かは、ルール決めしておくのが良いでしょう。
郵便番号⑰
半角で、ハイフォン付きで入力します。
住所⑱
住所は「折り返して全体を表示する」に設定してありますので、長い住所であっても折り返されて表示されます。
留意:
住所欄で、郵便番号を全角で入力してスペースキーで変換すると、郵便番号に対応する住所が表示されますので、選択して番地等を追加で入力することもできます。
(スペースではなく、変換キーを押下すると直接住所が表示されます。)
履歴
履歴内容⑲を入力する際に、日付を付けておくことで管理がしやすい為、日付欄⑳を設けています。
注意:
履歴内容及び日付は、1つのセルに複数行を入力しています。その為、行の高さが高くなっています。
履歴
履歴内容
労働者名簿の記載項目の1つとなっていますが内容についての規定はありませんので、ここでは昇給や昇格などについて記載しています。
日付
履歴の内容に関する日付を入力します。文字列の設定としていますので2019.04.01という形式で入力して下さい。
セル内改行の方法
履歴内容及び日付については、セル内改行で、1つのセルに複数行を入力します。
Excelそのまま入力の場合
改行は、セル内でALT+Enterキーで入力します。
ALT+ENTERで改行できました。
文章を追加します。
入力フォームで入力の場合
改行は、SHIFT+Enterキーで入力します。
SHIFT+ENTERで改行できました。
文章を追加します。
退職年月日㉑、退職理由㉒
退職理由は、会社都合(解雇等)でない場合は、「自己都合」で良いです。
社員№①
最後に、社員№を入力します。
留意:
社員№が入力されていますので、ダブルクリックすると「入力フォーム」が起動して「入力フォーム」での編集となり、セルの直接編集はできなくなります。
行の追加(労働者の追加)
労働者の追加
対象の労働者名簿の行を追加して、登録する労働者を追加できる様にします。労働者名簿の原紙では、デフォルトで26名を登録することができますが、行を追加することで何名でも登録できます。
行を追加する方法について説明します。
シート保護の解除
行を挿入するには、「シート保護の解除」が必要です。
「シートの保護・解除と初期化の方法_労働者名簿.pdf」を参照して、シートの保護を解除します。
行の挿入
例えば、7行目の直前に挿入してみます。7行目の行№をクリックして、カーソルを位置づけたまま右クリックします。
行№をクリックして右クリック
「挿入」をクリック
「挿入」をクリックすると行が挿入されました。
関数のセット
挿入された行には関数(年齢、勤続年数)がセットされていませんので、関数をセットします。
前の行(6行目)のG列をクリック
関数のコピー
セルの枠にカーソルを合わせると+マークが表示されますので、プラス(+)を押え、左クリックしたまま1行下へドラッグします。
留意:勤続年数の関数も同様にしてセットします。
行挿入の完了
これで、7行目に通常通りに労働者を登録することができます。