2019.09.18、”通所介護の「人事評価シート(excel)」を作成した(職業能力評価基準を活用)”でV1.0、2019.12.14、”「通所介護サービスの「スキル評価シートV2.0」 (レベル判定)を作成した。」”で、V2.0を開発、そして今回V2.0の改良版としてV3.0を開発しましたので公開します。
[ 改定履歴 ]
2024.04.16 「スキル評価シート」v4.0にバージョンアップしました。
テンプレートは、こちら→ スキル評価シート(在宅介護業、通所介護サービス)
動画解説は、こちら
スキル評価シートの構成
スキル評価シートの対象職種
通所介護事業所のスタッフ及び管理者の評価を目的として、以下5種類のテンプレートを収録しています。在宅介護業における「介護サービス事業管理(事業所)」と「通所介護サービス」職種です。
「スキル評価シート」は、「職務」×「レベル」のマトリックスとして、職種「通所介護サービス」では、4種類、職種「介護サービス事業管理(事業所)」では1種類のシートがあります。
介護施設事業所の介護スタッフ向け
介護スタッフ向けにレベル1~4までの評価シートを用意しています。
介護施設事業所の管理者向け
事業所の管理者向けにレベル4の評価シートを用意しています。
スキル評価シートの全体構成
「スキル評価シート」は「基本情報シート」,「入力シート」,「評価結果」,「コミュニケーションシート」で構成されます。
スキル評価シート(事業管理L4_管理者)
こちらは、通所介護事業所の管理者用のスキル評価シートです。
スキル評価シート(通所介護L1-L4_介護スタッフ)
こちらは、通所介護サービスの介護スタッフ用「スキル評価シート」です。以下は、4種類の内の中級スタッフ用です。
スキル評価シートの個別シート
基本情報シート
評価対象者の氏名、職種、等級、入社年月日等を設定するシートで、フォームは全て同一です。(レベルタイトルと貼り付けた設定レベルの表が異なるのみ)
注意:
ここでは、管理者用L4と介護スタッフ用のL1,L2,L3,L4の4つのレベルの基本情報シートを表示しています。
留意:
「スキル評価シート」は職種を「職務」×「レベル」のマトリックスとして作成されていますので、職種、職務、レベルは、評価シートで固定となっています。
入力シート
入力シートは、「共通能力ユニット」と「選択能力ユニット」から構成されます。
留意:
この入力シートで、本人評価及び上司評価欄にチェックをします。
チェックは、excel上では、該当箇所をクリックするのみですが、実際の運用では、被評価者へ評価シートを配布して、手で該当箇所をボールペンや鉛筆で塗りつぶす又はレマークを付けて頂き、それを回収して例えば本部でexcelデータとして入力することとなります。
介護スタッフ用では、L1,L2,L3,L4の4つのレベルがありますが、入力シートには、各々のレベルの基準を記載しています。
ここでは、管理者用の入力シートの掲載は省略しています。
評価結果シート
評価結果シートは、入力シートの評価結果を集計し、レーダーチャートとして表示したものです。各職業能力評価シートに記載されている「レベル判定の方法」を自動判定させる為に○、△、×の数を集計して合否判定して「判定結果」を表示させています。さらに、昇給・昇格、賞与の査定に利用できる様に「達成率」と「評価」も、自動で表示させています。
コミュニケーションシート
課題特定・目標設定
スキルレベルチェックグラフを参考に本人と上司とで話し合い、「課題特定・目標設定」を行います。目標設定の際には「いつ」「何を」「どこまで」行うかを明らかにし、具体的な目標を立てましょう。
実績確認
コミュニケーションシートの最下段の実績確認欄は、次回の評価の際に、「課題特定・目標設定」で掲げた目標がどの程度達成されているかを評価します。
留意:
コミュニケーションシートの運用については、以下の点に留意下さい。
(文章での記述式の評価では、それなりの慣れや訓練が必要と思われますので、評価する側も評価される側も、教育の機会があることが望まれます)
スキル評価方法の確認
スキル評価目的の確認
「評価」を実施するにあたって、その目的を明確にしておきましょう。「人事評価」を目的とする場合は、評価結果を報酬制度へどのように反映させるのか?その仕組み(昇給・昇格や賞与等へどのような計算で反映するのかなど)や時期(年1回、年2回等)を決めておくことが必要です。
留意:
「人材育成」を目的とする場合は、キャリアマップを作成して、レベルに応じた社員教育制度を整備し、教育(内部研修、外部研修等)に繋げることが大切です。
スキル評価方法の確認
評価の実施に当たっては、「人事評価」を目的とする場合の評価結果は報酬制度へどのように反映させるのか?そして評価の対象者やその範囲等を確認しておく必要があります。
レベル判定
「スキル評価シート」は、職業能力評価基準の判定であるレベル判定です。が、レベル判定と共に、報酬制度へ反映しやすいように、「評価点数」、「達成率」、「SAB・・評価」を指標として追加しています。
判定基準
在宅介護業で規定されている以下の判定基準で「認定結果(合否)」を決定しています。
報酬制度への反映方法
「人事評価」を目的とする場合は、評価結果を報酬制度へどのように反映させるのか?その仕組み(昇給・昇格や賞与等へどのような計算で反映するのかなど)や時期(年1回、年2回等)を決めておくことが必要です。
「レベル判定」結果の昇給・賞与への反映方法
「レベル判定」は、「職業能力判定」ですので「合格」することが、その仕事に従事する為の条件といった性質のものです。従って「不合格」であれば勉強不足であり、「合格」が当たり前と考えれば、レベル判定だけを昇給等の指標とするのは適切ではありません。点数、達成率、評価等の指標や、他の指標(勤怠状況、成績等)を加味した形で反映することをおすすめします。例えば、そのレベルの経験年数が2年以上で、且つ、Aランク以上の評価の場合には昇給して、2年連続してSランク以上であれば、「評価委員会」(注)の承認の上で昇格する等
注意:
「評価委員会」とは、評価のバラツキや偏りなどを是正して、公正・公平を保持する為の合議体です。全員の評価結果を一覧として査定のバランスを見て、各部門マネージャーが協議して、全員納得の上で査定を決定します。
評価結果による評価シートの選定
例えば、L2の評価シートで「L2認定」となれば、次回はL3の評価シートで受け、「L1」であれば、次回もまたL2の評価シートで評価を行なうのが妥当ですが、評価する上司の評価基準にバラツキ(甘い、厳しい等)があると、正確なレベル判定にならない事も考えられます。L1レベルの評価シートで「認定」を受けたからと言って、次はL2で受けるのか否かは、各会社での判断となりますが、キャリアマップとの関係を見て頂いて、認定となったからと言って経験年数が満たない場合は、上位レベルではなく、再度、同じレベルで評価して頂くのが良いでしょう。
留意:
職業能力評価基準は、行動評価なので、同じシートで評価しても結果が同じとは限りませんし、レベル判定は、その仕事に従事する為の条件と考えれば毎回、高い評価での結果であることが望ましいのです。
よって、どのレベルの評価シートで評価するかは、評価シートの結果と共に、毎回、評価委員会等で個人毎に他の指標も加味して、キャリアマップに準じて、一定の経験年数を条件として決定することとするのが良いでしょう。
スキル評価実施の手順
スキル評価実施の準備
スキル評価目的の確定
「評価」を実施するにあたって、その目的を明確にしておきましょう。「人材育成」を目的とする場合は、キャリアマップを作成して、レベルに応じた社員教育制度を整備し、教育(内部研修、外部研修等)に繋げることが大切です。「人事評価」を目的とする場合は、評価結果を報酬制度へどのように反映させるのか?その仕組み(昇給・昇格や賞与等へどのような計算で反映するのかなど)や時期(年1回、年2回等)を決めておくことが必要です。
スキル評価の対象
適用部署の確認
例えば、ここでは「スキル評価」の適用部署は、以下の通りとします。
被評価者の特定
評価の目的が昇給や賞与の査定など「人事評価」を目的とする場合は、評価の対象者を特定しなければなりません。例えば、ここでは、以下の「給与規定」で決められた条件を満たすものとします。
スキル評価シートの特定
「スキル評価シート」は、職種を「職務」×「レベル」のマトリックスとして用意していますので、どのスタッフが、どの種類の、どのレベルのシートを使うのかを決定することが必要です。「評価」の被評価者(対象)は、誰なのか?管理職のみか?パートさんも含めた全スタッフか?を決めた後、「評価シート」のレベルを特定します。
管理者の評価シートの特定
管理者は、介護サービス事業管理のレベル4の評価シートのみとなります。ここでは、デイ1番館の管理者である゛栗田真澄美゛さんと、デイ2番館の管理者である゛横山早紀゛さんは、「スキル評価シート(事業管理L4_管理者)」と特定されます。
介護スタッフの評価シートの特定
通所介護サービスの介護スタッフ用はレベル1,2,3,4の4種類ありますので、個々のスタッフ毎にレベルを特定します。
スキル評価シートの準備
スキル評価シートの特定
どのスタッフが、どの種類の、どのレベルのシートを使うかが確定します。役職やこれまでの経験や実績を元にキャリアマップを参照して、スタッフ毎にレベルを設定します。
留意:
レベル設定が難しい場合は、例えば、次のような基準で設定しても良いと思います。
初回の評価では該当レベルは不明ですので、入社歴1年未満の方へはL1の評価シート、入社歴1年以上の方へはL2の評価シートを配布します。例えば、デイサービス事業所が管理者1名とスタッフ4名(入社歴1年未満:1名、入社歴1年以上:3名)であれば、介護スタッフ用L1のスキル評価シートを1部とL2のスキル評価シート3部と、管理者用のスキル評価シート1部を渡します。
スキル評価シートの作成
どのスタッフが、どのレベルのシートを使うかが確定しましたら、「評価シート」を作成します。「評価シート」の基本情報シートに被評価者の氏名や上司評価者の氏名など基本情報を入力して、被評価者ごとの「評価シート」を作成します。
注意:
「スキル評価シート」(excel)は原本をコピーして人数分のブックを作成します。定期的に評価を行うためにも、データとして残しておくことが必要ですので、作成するブック名は、以下のようにするのが良いでしょう(ブック名に、被評価者氏名と評価日付を付加すると管理しやすくなります。)
例:小野小町さんの2020年04月の「スキル評価シート」を作成する場合
スキル評価シート(通所介護L2)中級スタッフ.xlsx→能力評価シートL220200401_小野小町.xlsx
評価シートの識別(誰のシートなのか)の為、評価日付と本人氏名及び上司氏名を入力すれば、他は必要な場合、入力することで問題ありません。
スキル評価シートの印刷
「評価シート」を、直接、Excelで被評価者へメール添付で配布して評価を依頼する場合は、「評価シート」を印刷する必要はありませんが、ペーパー(紙)で配布する場合は、印刷が必要です。
印刷の方法
基本情報シートの入力が完了しましたら、印刷します。1ブック1名で印刷します。つまり、人数分のセットを印刷します。
印刷の範囲
ペーパー(紙)で「評価シート」を配布する場合は評価結果とコミュニケーションシートは必要ありませんので、入力トまでを印刷して配布します。
注意:
この場合は、手書きで評価(チェックマークを記入)されたシートを回収して、被評価者のexcelの評価シートに結果を入力する必要があります。
スキル評価の実施
スキル評価シートの配布
印刷した評価シートは1人分をクリップ(ホッチキス)で止めて、対象者分を被評価者の上司へ、まとめて渡し、上司から本人へ渡すように依頼します。
※シートは回収して、評価結果の集計を行いますので、回収納期を伝えておきます。
本人評価の実施
評価シート」を受け取った本人は、本人評価欄に評価(○、△、×,-)をチェックして、納期までに上司へ返却します。
上司評価の実施
本人から記入済みの「評価シート」を受け取った上司は、本人評価を参照しながら上司評価欄に評価(○、△、×,-)をチェックして、納期までに本部(又は人事)へ返却します。
採点と、評価結果のデータ入力
本人評価、上司評価の記入された評価シートは、本部又は人事へ返却・回収されますので、回収した「評価シート」の結果をexcelデータとして入力します。
結果を入力することで、評価結果シートで採点されます。
この場合、「×:できていない」がなく、「○の割合が70.1%」ある為、条件を満たしレベル判定では、「L2認定」となっています。
フィードバック面談の実施
評価結果の入力された評価シートは、各個人毎に印刷して、フィードバック面談に備えます。上司評価者は、評価結果の印刷された「スキル評価シート」で、被評価者に対してフィードバック面談を行います。(「評価シート」はコピーして、被評価者に渡し、面談を開始します)
課題特定・目標設定、実績確認
課題特定・目標設定
スキルレベルチェックグラフを参考に本人と上司とで話し合い、「課題特定・目標設定」を行います。目標設定の際には「いつ」「何を」「どこまで」行うかを明らかにし、具体的な目標を立てましょう。
実績確認
コミュニケーションシートの最下段の実績確認欄は、次回の評価の際に、「課題特定・目標設定」で掲げた目標がどの程度達成されているかを評価します。
留意:
コミュニケーションシートの運用については、以下の点に留意下さい。
(文章での記述式の評価では、それなりの慣れや訓練が必要と思われますので、評価する側も評価される側も、教育の機会があることが望まれます)