「スキル評価シート(通所介護)を改良しました。2019.09.18にV1.0を開発して、2019.12.14にV2.0、2022.05.23にV3.0、そして今回のV4.0となります。今回の改良点は、3点。「入力シート(基本情報)」と「評価結果シート」のレイアウト変更と、管理者用のスキル評価シート(事業管理)に、L3(レベル3)のシートの追加です。
テンプレートは、こちら→ スキル評価シート(在宅介護業、通所介護サービス)
動画解説は、こちら
スキル評価シートの構成
使い方の説明をする前に、「評価シートの構成」を確認しておきます。
「スキル評価シート」の収録内容
通所介護事業所のスタッフ及び管理者の評価を目的として、以下5種類のテンプレートを収録しています。
対象職種
対象は、「介護サービス事業管理(事業所)」と「通所介護サービス」職種です。前者は事業所の管理者向けにレベル3とレベル4、後者は、介護スタッフ向けにレベル1~3までの評価シートを用意しています。
注意:
通所介護サービスのレベル4のスーパーバイザーについては、「介護サービス事業管理」の管理者の評価として扱い、事業管理のレベル2についてはレベル3に含めますので合計5種類のテンプレートとなっています。
介護スタッフ向け
「通所介護サービス」の職種ではレベル1~3までの3種類のシートがあります。
管理者向け
「介護サービス事業管理(事業所)」の職種では、レベル1とレベル2の2種類のシートがあります。
スキル評価シートの全体構成
「スキル評価シート」は「入力シート(基本情報)」,「入力シート(共通能力)」,「入力シート(選択能力)」、「評価結果シート」,「コミュニケーションシート」で構成されます。入力シートは介護スタッフ用では「共通能力ユニット」が1種類、「選択能力ユニット」が「通所介護」と「通所介護技術」の2種類に分かれています。
スキル評価シート(通所介護)
こちらは「通所介護サービス」職種の介護スタッフ用のレベル2(中級)の「スキル評価シート」です。
スキル評価シート(事業管理)
こちらは、「介護サービス事業管理」職種のレベル4の管理者用のスキル評価シートです。
スキル評価シートの個別シート
入力シート(基本情報)
評価対象者の氏名、職種、等級、入社年月日等を設定するシートで、フォームは全て同一です。
留意:
「スキル評価シート」は職種毎に「職務」×「レベル」のマトリックスとして作成されていますので、介護スタッフであれば、スキル評価シート(通所介護)のレベル1(初級)、レベル2(中級)、レベル3(上級)の中から選択して、管理者(又は、サ責)であれば、スキル評価シート(事業管理)のレベル3、レベル4の中から選択します。
入力シート(共通能力)
この入力シートで、本人評価及び上司評価欄にチェックをします。チェックは、excel上では、該当箇所をクリックするのみですが、実際の運用では、被評価者へ評価シートを配布して、手で該当箇所をボールペンや鉛筆で塗りつぶす又は✔マークを付けて頂き、それを回収して例えば本部でexcelデータとして入力することとなります。
入力シート(選択能力)
能力細目、職務遂行のための基準は、それぞれのレベルに応じて選択された内容となっています。(レベル毎に異なっています。)
評価結果シート
評価結果シートは、入力シートの評価結果を集計し、レーダーチャートとして表示したものです。各職業能力評価シートに記載されている「レベル判定の方法」を自動判定させる為に○、△、×の数を集計して合否判定して「判定結果」を表示させています。さらに昇給・昇格、賞与の査定に利用できる様に「達成率」と「評価(SAB判定)」も、自動で表示させています。
留意:
レベル判定の基準は、在宅介護業界の業界標準です。上記の例では、スキル評価シート(「通所介護サービス」職種)のレベル2の評価シートで評価を受けて、要件を満たしてなかった為、「L2認定」とならず「L1」(レベル1)という判定結果となっています。
コミュニケーションシート
課題特定・目標設定
スキルレベルチェックグラフを参考に本人と上司とで話し合い、「課題特定・目標設定」を行います。目標設定の際には「いつ」「何を」「どこまで」行うかを明らかにし、具体的な目標を立てましょう。
実績確認
コミュニケーションシートの最下段の実績確認欄は、次回の評価の際に、「課題特定・目標設定」で掲げた目標がどの程度達成されているかを評価します。
留意:
コミュニケーションシートの運用については、以下の点に留意下さい。
(文章での記述式の評価では、それなりの慣れや訓練が必要と思われますので、評価する側も評価される側も、教育の機会があることが望まれます)
評価方法の確認
評価目的の確認
「評価」を実施するにあたって、その目的を明確にしておきましょう。「人事評価」を目的とする場合は、評価結果を報酬制度へどのように反映させるのか?その仕組み(昇給・昇格や賞与等へどのような計算で反映するのかなど)や時期(年1回、年2回等)を決めておくことが必要です。
「人材育成」を目的とする場合は、キャリアマップを作成して、レベルに応じた社員教育制度を整備し、教育(内部研修、外部研修等)に繋げることが大切です。
評価方法の確認
評価の実施に当たっては、「人事評価」を目的とする場合の評価結果は報酬制度へどのように反映させるのか?そして評価の対象者やその範囲等を確認しておく必要があります。
評価指標
「スキル評価シート」は、職業能力評価基準の判定であるレベル判定です。がレベル判定と共に、報酬制度へ反映しやすいように、「評価点数」、「達成率」、「SAB・・評価」を指標として追加しています。
レベル判定の基準
在宅介護業で規定されている以下の判定基準で「認定結果(合否)」を決定しています。
報酬制度への反映方法
「レベル判定」結果の昇給・賞与への反映方法
「レベル判定」は、「職業能力判定」ですので「合格」することが、その仕事に従事する為の条件といった性質のものです。また、テストや実技試験での成績判定ではなく、上司による判定で決定(「×」が1つでもあれば「不合格」)となってしまう為、上司による評価のバラツキや偏りのリスクがあります。教育目的での利用では大きな効果がありますが、昇給や昇格等の報酬へ反映する目的では、レベル判定だけを昇給等の指標とするのは適切ではありません。達成率、評価(SAB判定)等の指標をご利用をお薦めします。例えば、そのレベルの経験年数が2年以上で、且つ、Aランク以上の評価の場合には昇給して、2年連続してSランク以上であれば、「評価委員会」(注)の承認の上で昇格する等
注意:
「評価委員会」とは、評価のバラツキや偏りなどを是正して、公正・公平を保持する為の合議体です。全員の評価結果を一覧として査定のバランスを見て、各部門マネージャーが協議して、全員納得の上で査定を決定します。
評価結果による評価シートの選定
評価結果としての「レベル判定」は、「職業能力判定」ですので、その仕事に従事する為の条件といった性質のもので、「合格」したからと言って、次は上のレベルの評価シートで評価を受けるというものではありません。例えば、L2の評価シートで「L2認定」となれば、次回はL3の評価シートで受け、「L1」であれば、次回もまたL2の評価シートで評価を行なうということではありません。「レベル判定」は「運転免許の更新」という性質のもので、毎年、その仕事に従事できるか?否か?をチェックすることなので、「合格」が前提です。従って、次にどのレベルの評価シートで評価するか?ランクを上げるか否か?は、あくまでも「評価委員会」の決定となります。達成率、評価(SAB判定)等の指標や、キャリアマップとの関係や経験年数を判断した結果で、次にどのレベルの評価シートで評価するか?を決定します。
注意:
職業能力評価基準は、行動評価なので、同じシートで評価しても結果が同じとは限りませんし、レベル判定は、その仕事に従事する為の条件と考えれば毎回、高い評価での結果であることが望ましいのです。
よって、どのレベルの評価シートで評価するかは、評価シートの結果と共に、毎回、評価委員会等で個人毎に他の指標も加味して、キャリアマップに準じて、一定の経験年数を条件として決定することとするのが良いでしょう。
評価実施の手順
評価実施の準備
評価目的の確定
「評価」を実施するにあたって、その目的を明確にしておきましょう。「人材育成」を目的とする場合は、キャリアマップを作成して、レベルに応じた社員教育制度を整備し、教育(内部研修、外部研修等)に繋げることが大切です。「人事評価」を目的とする場合は、評価結果を報酬制度へどのように反映させるのか?その仕組み(昇給・昇格や賞与等へどのような計算で反映するのかなど)や時期(年1回、年2回等)を決めておくことが必要です。
評価の対象
適用部署の確認
例えば、ここでは「スキル評価」の適用部署は、以下の通りとします。
被評価者の特定
評価の目的が昇給や賞与の査定など「人事評価」を目的とする場合は、評価の対象者を特定しなければなりません。例えば、ここでは、以下の「給与規定」で決められた条件を満たすものとします。
特定された被評価者は、次の通りです。
評価シートの特定
「スキル評価シート」は、職種を「職務」×「レベル」のマトリックスとして用意していますので、どのスタッフが、どの種類の、どのレベルのシートを使うのかを決定することが必要です。「評価」の被評価者(対象)は、誰なのか?管理職のみか?パートさんも含めた全スタッフか?を決めた後、「評価シート」のレベルを特定します。
管理者の評価シートの特定
管理者は、介護サービス事業管理のレベル3又は4の評価シートとなります。ここでは、デイ1番館の管理者である゛栗田真澄美゛さんと、デイ2番館の管理者である゛横山早紀゛さんは、「スキル評価シート(事業管理L4_管理者)」と特定されます。
注意:レベル3はサ責を想定しています。(ここでは対象者がいません。)
介護スタッフの評価シートの特定
通所介護サービスの介護スタッフ用はレベル1,2,3の3種類ありますので、個々のスタッフ毎にレベルを特定します。
「評価シート」の準備
「評価シート」の特定
どのスタッフが、どの種類の、どのレベルのシートを使うかが確定します。役職やこれまでの経験や実績を元にキャリアマップを参照して、スタッフ毎にレベルを設定します。
留意:
レベル設定が難しい場合は、例えば、次のような基準で設定しても良いと思います。初回の評価では該当レベルは不明ですので、入社歴1年未満の方へはL1の評価シート、入社歴1年以上の方へはL2の評価シートを配布します。例えば、デイサービス事業所が管理者1名とスタッフ4名(入社歴1年未満:1名、入社歴1年以上:3名)であれば、介護スタッフ用L1のスキル評価シートを1部とL2のスキル評価シート3部と、管理者用のスキル評価シート1部を渡します。
「評価シート」の作成
どのスタッフが、どのレベルのシートを使うかが確定しましたら、「評価シート」を作成します。「評価シート」の基本情報シートに被評価者の氏名や上司評価者の氏名など基本情報を入力して、被評価者ごとの「評価シート」を作成します。
注意:
「スキル評価シート」(excel)は原本をコピーして人数分のブックを作成します。定期的に評価を行うためにも、データとして残しておくことが必要ですので、作成するブック名は、以下のようにするのが良いでしょう
例:小野小町さんの2024年04月の「スキル評価シート」を作成する場合
スキル評価シート(通所介護L2_中級スタッフ)原紙.xlsx→スキル評価シートL220240401_小野小町.xlsx
ブック名に、被評価者氏名と評価日付を付加すると管理しやすくなります。
留意:
評価シートの識別(誰のシートなのか)の為、評価日付と本人氏名及び上司氏名を入力すれば、他は必要な場合、入力することで問題ありません。
「評価シート」の印刷
「評価シート」を、直接、Excelで被評価者へメール添付で配布して評価を依頼する場合は、「評価シート」を印刷する必要はありませんが、ペーパー(紙)で配布する場合は、印刷が必要です。
印刷の方法
入力シート(基本情報)の入力が完了しましたら、印刷します。1ブック1名で印刷します。つまり、人数分のセットを印刷します。
印刷の範囲
ペーパー(紙)で「評価シート」を配布する場合は評価結果とコミュニケーションシートは必要ありませんので、入力シートまでを印刷して配布します。
この場合は、手書きで評価(チェックマークを記入)されたシートを回収して、被評価者のexcelの評価シートに結果を入力する必要があります。
評価の実施
「評価シート」の配布
印刷した評価シートは1人分をクリップ(ホッチキス)で止めて、対象者分を被評価者の上司へ、まとめて渡し、上司から本人へ渡すように依頼します。
※シートは回収して、評価結果の集計を行いますので、回収納期を伝えておきます。
本人評価の実施
「評価シート」を受け取った本人は、本人評価欄に評価(○、△、×,-)をチェックして、納期までに上司へ返却します。
上司評価の実施
本人から記入済みの「評価シート」を受け取った上司は、本人評価を参照しながら上司評価欄に評価(○、△、×,-)をチェックして、納期までに本部(又は人事)へ返却します。
採点と、評価結果のデータ入力
本人評価、上司評価の記入された評価シートは、本部又は人事へ返却・回収されますので、回収した「評価シート」の結果をexcelデータとして入力します。
結果を入力することで、評価結果シートで採点されます。
フィードバック面談の実施
評価結果の入力された評価シートは、各個人毎に印刷して、フィードバック面談に備えます。
上司評価者は、評価結果の印刷された「スキル評価シート」で、被評価者に対してフィードバック面談を行います。(「評価シート」はコピーして、被評価者に渡し、面談を開始します。)
課題特定・目標設定、実績確認
課題特定・目標設定
スキルレベルチェックグラフを参考に本人と上司とで話し合い、「課題特定・目標設定」を行います。目標設定の際には「いつ」「何を」「どこまで」行うかを明らかにし、具体的な目標を立てましょう。
実績確認
コミュニケーションシートの最下段の実績確認欄は、次回の評価の際に、「課題特定・目標設定」で掲げた目標がどの程度達成されているかを評価します。
留意:
コミュニケーションシートの運用については、以下の点に留意下さい。(文章での記述式の評価では、それなりの慣れや訓練が必要と思われますので、評価する側も評価される側も、教育の機会があることが望まれます)