派遣先管理台帳の作成と保管の実際

派遣スタッフは、正社員や契約社員とは違い、雇用契約は人材派遣会社(派遣元)と結ばれており、給与も人材派遣会社(派遣元)から支払われています。つまり、派遣先企業は、仕事についての指揮命令を出すという立場になります。指揮命令権があるということは、”外注”とは異なり、適切に業務を管理しなければなりません。派遣スタッフを使う際の事務処理や遵守すべき法律などについてまとめてみました。

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派遣管理の流れ

派遣会社の確認

派遣会社の許可番号(届出受理番号)を確認します。許可・届出派遣会社以外から派遣労働者を受け入れることはできません。
派遣会社の許可番号(届出受理番号)については、厚生労働所省の運営する「人材サービス総合サイト」(http://www.jinzai-sougou.go.jp)でも確認することができます。
例:派13-30XXXX、派27-30XXXX等

抵触日の通知

派遣先は、派遣契約を締結する前に、派遣元に抵触日(事業所単位)を通知する必要があります。(派遣法第26条第5項、第6項)
抵触日通知書も、雇用契約日より3年の日を抵触日として派遣元から送付されてきます。が、間違っていれば、訂正を要請することが必要です。

派遣契約の締結

派遣会社との間で、適切に「労働者派遣契約」を締結します。派遣契約に記載すべき内容は、法律で定められています。
注意:
労働者派遣法によって派遣スタッフを特定する行為が禁じられているため、事前に派遣先が派遣労働者を指名することはもちろん、事前面接や履歴書を送付させることなどは原則禁止されています。(紹介予定派遣を除く)

  • 労働者派遣基本契約書
    法人間の取り引き上の基本事項(機密保持・支払条件など)、派遣法での定めなし
  • 労働者派遣個別契約書
    個別の派遣契約内容(期間・業務内容・人数など)、派遣法での定めなし
派遣契約の当事者は、契約の締結に際し派遣法第26条に基づき、個別の派遣就業条件などに関する事項を、都度、具体的に定めなければならず、その契約の内容を書面に記載しておかなければなりません。
ここでいう労働者派遣契約とは、恒常的に取引先との間に労働者派遣をする旨の基本契約ではなく、具体的に個別に就業条件をその内容に含む個別契約を言います。(厚生労働省の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)

派遣元から派遣スタッフの通知

派遣元から、派遣スタッフの氏名、雇用保険・社会保険の加入状況、性別、60歳以上か否かの別、無期雇用労働者か否かが通知されます。
留意:
労働者派遣法(法第35条、施行規則第27条の2)では、派遣労働者の健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入事実を派遣先が確認できるよう、被保険者資格取得届の提出の有無についての通知を派遣元事業主に義務付けています。また、資格取得届の提出「有」の場合には、被保険者証の写し等の資料を派遣先に提示又は送付することを業務取扱要領において義務付けています。派遣労働者本人による提示は認められておらず、派遣元の担当者が都度対応しなければなりません。

派遣労働者の受け入れ

派遣労働者の社会保険加入状況の確認

派遣労働者が雇用保険、厚生年金、健康保険に未加入の場合は、「保険加入状況の通知」欄に、加入しない理由が記載されていますので、適切な理由であることを確認します。未加入の理由が適正でないと考えられる場合は、派遣元に対して、社会保険に加入させてから派遣する様に要請します。派遣労働者の社会保険加入状況は、個別契約書や、派遣元より送付される゛派遣先管理台帳゛へ記載されています。

雇用保険未加入の理由

雇用保険が適用されない理由は、次のどちらか
①週の所定労働時間が20時間未満の為
②雇用契約が31日以上継続する見込がない為

社会保険未加入の理由

社会保険が適用されない理由は、次のいづれか
①週の所定労働時間が通常の労働者の3/4未満の為
②労働契約が2ヶ月未満の為
③短時間労働者で以下のいづれかに該当する為
・週の所定労働時間が20時間未満である。
・月額賃金88,000円未満である。
・1年以上の雇用見込がない。
・学生である。

派遣先責任者の選任

派遣労働者数100人以下の場合は、1人で良く、他の職務との兼任もできます。尚、派遣労働者と、直接雇用の労働者が合わせて5人以下の場合は、選任は必要ありません。また、派遣先責任者が指揮命令者を兼任する場合であっても、実務上または派遣法上も特に問題はありません。
[ 派遣先責任者の職務 ]

  1. 適用される労働関係法令や締結した労働者派遣契約の内容などにいて周知すること。
  2. 派遣受入期間の変更通知に関すること。
  3. 派遣先管理台帳の作成、記録及び保存等に関すること
  4. 派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理に当たること。
  5. 安全衛生に関する事。
  6. 派遣元との連絡調整に関すること。

派遣先管理台帳の作成

派遣先管理台帳は、労働者派遣法により派遣先の義務として規定されています。

作成

事業所の派遣労働者の数と、雇用している労働者の合計が5人以下の場合は派遣先管理台帳の作成は必要ありません。(則第35条第3項)

  • 派遣元管理台帳と同様、事業所ごと派遣労働者ごとに作成します。
  • 書式や作成方法については、必要な項目の記載があれば任意で構いません。

保存

派遣先は、3年間保存しなければなりません。(法第42条第2項)起算日は、労働者派遣が終了する日になります。(施行規則第37条)

罰則

派遣先管理台帳を作成、保存、通知を行わなかった場合、30万円以下の罰金に処せられる場合があります。(法第61条第3号)

派遣元事業主への通知

派遣先は派遣先管理台帳に記載した事項を派遣元へ通知しなければなりません。(法第42条第3項)
通知する内容は、以下の通りです。

  • 派遣労働者の氏名
  • 派遣就業した日
  • 派遣就業した日ごとの始業時刻並びに終業時刻ならびに休憩時間
  • 従事した業務の種類・内容
  • 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業をした場所

1か月1回以上で、一定の期日を定め、派遣労働者ごとに書面の交付等により行わなければならず、派遣元事業主が請求すれば、遅滞なく書面の交付またはFAX、電子メールの送信により通知しなければなりません。(法第42条第3項、則第38条)
注意:
派遣労働者から苦情の申し出を受けた場合には、その都度、苦情申し出を受けた年月日、苦情の内容、苦情の処理状況に関する事項を通知しなければなりません。

派遣先管理台帳の作成

派遣先管理台帳の記載事項

派遣先管理台帳の求める要件

①派遣法に定める必要項目を網羅している事
②抵触日が容易にわかる事。(事業所別、個人別)
・派遣先台帳は、事業所別に保管する。
・派遣期間は、横棒(バー)で示す。(クーリング期間が見やすい。)
③個別契約書と派遣元への通知書(タイムシート)のチェックができる事。
・個別契約書と、派遣元への通知書(タイムシート)は一緒に保管する。
・個別契約書は、契約の開始年ごとに保管する。
・派遣元への通知書(タイムシート)は、年・月ごとに保管する。

派遣先管理台帳の記載事項

派遣先管理台帳には、次の事項を派遣労働者ごとに記載しなければなりません。(法第42条第1項、施行規則第36条)

  • 派遣労働者の氏名
  • 派遣元事業主の氏名又は名称
  • 派遣元事業主の事業所の名称
  • 派遣元事業主の事業所の所在地
  • 無期雇用か有期雇用かの別
  • 派遣就業した日
  • 派遣就業した日毎の始業・終業及び休憩時間
  • 従事した業務の種類・内容
  • 派遣労働者が就業した事業所の名称、所在地、派遣就業した場所、組織単位
  • 派遣元責任者
  • 派遣先責任者
  • 派遣労働者が60歳以上の者であるか否かの別
  • 雇用保険、厚生年金、健康保険の加入状況
  • 派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理に関する事項
  • 教育訓練を行った日時・内容
  • 紹介予定派遣である場合は、紹介予定派遣に関する事項
  • 派遣受入期間の制限を受けない業務の場合、その旨

派遣先管理台帳の様式

以下のように4つの事業所を持つHAPPYCARE株式会社(架空会社)を例として、派遣先管理台帳の運用を考えます。
派遣先管理台帳は、事業所別に作成して管理します。つまり、事業所別に派遣先管理台帳をブックとして作成し、ブック内では、年度別にシートを作成します。
留意:派遣期間の制限が、事業所別個人別の為、事業所別にブックを作成します。

※記載している番号は、就業場所コードとなります。

派遣先管理台帳の構成

①派遣元・派遣先一覧表

シートは、先頭シートに派遣元・派遣先一覧表を作成します。

②派遣先管理台帳

各シートは年度別に分けます。1年間を1シートに記載します。

※派遣元は、業者によって色分けします。そして、派遣労働者名も、派遣元と同じく色分けします。

派遣先台帳の作成

①基本項目

一般に、派遣元より個別契約書と、同一の内容で゛派遣先管理台帳゛が送付されてきますので、それを保管して「派遣先管理台帳」としても良いですが、派遣元によっては送付されないところもあり、またA4の一品一葉の為、何枚にもなりますので、転記して多品一葉の「派遣先管理台帳」を作成します。

※派遣元コード又は派遣先コードが「派遣元・派遣先一覧表」にない場合は、連番でコードを採番して、「派遣元・派遣先一覧表」に追加して下さい。

②その他の項目

a.⑫契約期間をバーで記載します。

例:平成30年7月1日~平成30年9月30日

b.⑬派遣労働者からの苦情処理状況

別紙に記載して、そのEXCEL又はWord文書名を記載します。

c.⑭教育訓練を行った日時及び内容

別紙に記載して、そのEXCEL又はWord文書名を記載します。

d.⑮紹介予定派遣に・・・・労働者派遣に関する事項

別紙に記載して、そのEXCEL又はWord文書名を記載します。

e.⑯就業状況:別紙タイムシートの通り

派遣元事業主へ通知した文書名(PDF)を記載します。
留意:1ヶ月に1回、支払いの為、以下の項目を記載した支払明細書を派遣元へ通知している文書をPDFとして保管します。
・派遣労働者の氏名
・派遣就業した日
・派遣就業した日ごとの始業時刻並びに終業時刻ならびに休憩時間
・従事した業務の種類・内容
・派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業をした場所

注意:
派遣元事業主へ通知した文書名(PDF)は、別紙「派遣元への通知書(タイムシート)」を参照下さい。

労働者派遣の期間制限

改正前の、いわゆる「26業務」への労働者派遣には期間制限を設けない仕組みが見直され、施行日以後に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、全ての業務で次の2つの期間制限が適用されます。

派遣先事業所単位の期間制限

派遣先の同一の事業所に対し、派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度となります。派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合等からの意見を聴く必要があります。

派遣労働者個人単位の期間制限

同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、3年が限度となります。
注意:
組織単位を変えれば、同一の事業所に、引き続き同一の派遣労働者を(3年を限度として)派遣することができますが、事業所単位の期間制限による派遣可能期間が延長されていることが前提となります。

クーリング期間

事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限の両方に所謂「クーリング期間」の考え方が設けられます。

事業所単位の期間制限

派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3か月を超えない時は、労働者派遣は継続しているものとみなされます。

個人単位の期間制限

派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣の終了後に同一の派遣労働者を再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3か月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものと見做されます。

過半数労働組合等への意見聴取手続

派遣先は、事業所単位の期間制限による3年の派遣可能期間を延長しようとする場合、その事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)からの意見を聴く必要があります。

(出典:「平成27年労働者派遣法改正法の概要」パンフレットより)

書面通知

派遣先は、事業所単位の期間制限の抵触日の1か月前までに、事業所の過半数 労働組合等からの意見を聴きます。但し、十分な考慮期間を設けなければなりません。派遣先が意見を聴く際は、次の事項を書面で通知しなければなりません。

  • 派遣可能期間を延長しようとする事業所
  • 延長しようとする期間

書面の保存・周知

派遣先は、意見を聴いた後、次の事項を書面に記載し、延長しようとする派遣可能期間の終了後3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。

  • 意見を聴いた過半数労働組合の名称または過半数代表者の氏名
  • 過半数労働組合等に書面通知した日及び通知した事項
  • 意見を聴いた日及び意見の内容
  • 意見を聴いて、延長する期間を変更したときは、その変更した期間

派遣可能期間の延長

派遣可能期間を延長できるのは3年間までです。延長した派遣可能期間を再延長しようとする場合は、改めて過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。

期間制限の例外

次に掲げる場合は、例外として、期間制限がかかりません。

  • 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
  • 60歳以上の派遣労働者を派遣する場合
  • 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
  • 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合

派遣先管理台帳のダウンロード

派遣先管理台帳のexcelサンプルをダウンロードできる様にしましたので自由に活用下さい。

但し、必要とご連絡頂いた方にのみに公開しておりますので、パスワードを必要としています。「excelサンプル要」と「問い合わせ」よりご依頼下さい。パスワードをメールします。よろしくお願い致します。

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コメント

  1. 花の係長 より:

    ネットで検索し、拝見しました。
    最近、会社で派遣管理担当になり
    派遣先管理台帳の運用で悩んでおります。
    このブログで紹介になっている
    エクセルを使わせて頂きたいと
    思い、コメントさせて頂きます。
    何卒宜しくお願い申し上げます。

    • gungii より:

      ブログをご覧頂きありがとうございます。ブログの中から派遣先管理台帳のエクセルをダウンロードできるようにしましたので、ダウンロードしてご利用下さい。必要なパスワードはメールさせて頂きます。zipファイルとなりますので、ダウンロード後、解凍してご使用下さい。
      留意:
      ブログで説明しておりますエクセルは、4つの事業所がありますので、事業所別に4つのブックがあります。そして1つのブックの中に年度別のシートがあるという構成になっています。
      シートにはサンプルデータがありますので、削除してご利用下さい。

      • 花の係長 より:

        御礼遅くなり申し訳ありません。

        頂きましたエクセル、非常に精緻に出来ていて感服しました。
        早速活用させて頂いております。
        ありがとうございます。

  2. 事業部長 より:

    はじめまして。この秋より弊社で派遣事業を立ち上げるにあたり、派遣先の管理の参考になればと様々なサイトを拝見していてこちらへたどり着きました。
    とても興味深いサイトで、私の求めていた物に最も近そうだったので、ぜひエクセルをダウンロードさせていただきたいと思いました。パスワードを教えていただいてもよろしいでしょうか。

    • gungii より:

      ブログをご覧頂き、ありがとうございます。パスワード送付させて頂きます。お役に立てば幸いです。

  3. 菊間重之 より:

    exelサンプル要

    • gungii より:

      ブログをご覧頂き、ありがとうございます。パスワード送付させて頂きます。お役に立てば幸いです。

  4. 主事 より:

    exelサンプル要

  5. 主事女子 より:

    exelサンプル要

    • gungii より:

      ブログをご覧頂き、ありがとうございます。パスワード送付させて頂きます。お役に立てば幸いです。