年金の一部が支給停止となることがある在職老齢年金の支給停止の仕組み

70歳未満の方が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所に勤めることになった場合には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。これを在職老齢年金と言います。
具体的には、給料と年金の1/12の合計額が、60歳から65未満の場合は28万円、65歳以上の場合は46万円(平成29年度)を超えると、年金がカットされます。在職老齢年金のカット額を決める際の「給料」とは、正式には「総報酬月額相当額」といい、標準報酬月額と標準賞与額の年間総額を12で割った金額となります。

スポンサーリンク
投稿本文(h2)

60歳以上65歳未満の在職老齢年金

60歳以上65歳未満の方で、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受ける時は、基本月額と総報酬月額に応じて、年金額が支給停止される場合があります。


※平成29年4月1日より基準額が47万円から46万円に変更となりました。
基本月額:加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額
総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

基本月額

基本月額とは、加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額を言います。
例:
以下の例では、平成28年6月支給分より、188,145円が年金支払額となります。が、年金は偶数月に支払いますので、平成28年4月分と平成28年5月分が支払われます。よって、基本月額は、188,145÷2=94,072.5円となります。

総報酬月額相当額

総報酬月額相当額とは、(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

その月の標準報酬月額

例:平成28年9月の給料が207,560円とすると、「その月の標準報酬月額」は200,000円となります。

その月以前1年間の標準賞与額の合計

「その月以前1年間」とは、平成27年10月~平成28年9月までを言い、その間に賞与が支給されていれば、その合計となります。
例:
平成28年6月に、165,600円が賞与として支給されたとすれば、165,000円がその月以前1年間の標準賞与額の合計となります。
注意:標準賞与額は、千円未満切り捨てとなります。

総報酬月額相当額

(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
(200,000円)+(165,000÷12)=200,000+13,750=213,750円

計算例1

平成28年6月(平成28年4月分と平成28年5月分)に「年金振込通知書」が届きますが、支給停止額がいくらで、いくらの年金支払額となるのかを計算してみます。平成28年3月までは、厚生年金保険の基本額は1,297,747円とします。

平成28年3月までは、基本月額は108,146円(1,297,747÷12=108,145.58)、総報酬月額相当額は200,000円(賞与なし、支給額207,560円なので標準報酬月額は200,000円)となり上記②に該当して、
支給停止額=(200,000円+108,145.58円-280,000円)×1/2×12=168,873.48→168,873円
年金支給額=1,297,747円-168,873=1,128,874円


年金額:1,128,874÷6(偶数月に振込)=188,145.6→188,145

計算例2

平成29年6月(平成29年4月分と平成29年5月分)に「年金振込通知書」が届きますが、支給停止額がいくらで、いくらの年金支払額となるのかを計算してみます。平成29年4月までは、厚生年金保険の基本額は1,296,447円とします。

平成29年4月までは、基本月額は108,146円(1,296,447÷12=108,037.25)、総報酬月額相当額は200,000円(賞与なし、支給額207,560円なので標準報酬月額は200,000円)となり上記②に該当して、
支給停止額=(200,000円+108,137.25円-280,000円)×1/2×12=168,223.5→168,223円
年金支給額=1,296,447円-168,223=1,128,224円

年金額:1,128,224÷6(偶数月に振込)=188,037.3→188,037

計算例3

平成25年8月(平成25年6月分と平成25年7月分)の年金支払額を計算してみます。この例では、平成25年6月と平成25年8月に賞与の支給がありましたので、支給額変更通知書が届きます。平成25年4月までは、厚生年金保険の基本額は1,287,800円とします。

平成25年6月には、平成25年5月と平成25年4月分が支払われますが、その際の基本月額は(1,287,800÷6=214,633.333)となります。
次は、平成25年8月支給で、平成25年6月と7月分が支払われます。が、平成25年6月支給で賞与として71,000円が支払われていますので、支給停止額は以下の通りです。

さらに、続けて平成25年10月(平成25年9月分と平成25年8月分)の年金支払額を計算します。ここでのポイントは、平成25年8月の年金支払額の計算では、平成25年6月支給の71,000円の賞与のみ加算しましたが、今回は71,000円と平成25年8月支給の50,000円も加算して計算するということです。
平成25年10月には、平成25年9月と平成25年8月分が支払われるが、平成25年6月支給で賞与として71,000円、平成25年8月支給で賞与として50,000円が支払われていますので、支給停止額は、以下の通りです。

65歳以上の在職老齢年金

65歳以上で厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受ける方(70歳以上の在職者も含む)は、65歳未満の方とは別の在職老齢年金の仕組みによって、年金額が支給停止される場合があります。

計算例

老齢厚生年金額=192万円[基本月額16万円]の人が、総報酬月額相当額=42万円
(標準報酬月額:32万円、標準賞与額:120万円[月額:10万円])の場合

基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円を超える為、上記②に該当
支給停止額=(42万円+16万円-46万円)×1/2×12=72万円
よって、
年金支給額=1,92万円-72万円=1,20万円(月額:10万円→20万円:2ヶ月に1回の振込)


(出典:日本年金機構パンフレット)

特別支給の老齢年金

65歳から年金を受け取ることができるのは、誰もが知っていることたと思いますが、実は、60歳から受け取れる年金があるのです。「特別支給の老齢厚生年金」と言い、年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際に、経過措置として制度化されました。特別支給の老齢厚生年金は、性別と生年月日で対象者や支給パターンも変わりますので、確認が必要です。

特別支給の老齢厚生年金の対象者

  • 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。
  • 女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。
  • 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
  • 厚生年金保険に1年以上加入していたこと。
  • 60歳以上であること。

特別支給の老齢厚生年金の支給パターン

請求手続きと必要書類

60歳から65歳までの期間のみ適用される期間限定の制度ですので、必ず申請する様にします。支給開始年齢の3ヶ月前に「年金請求書」と「手続きの案内」が日本年金機構から郵送されますので、年金事務所へ提出します。
注意:請求書の受付は、65歳になってからとなりますので、早めに手続きしようとしても受け付けられませんので、注意願います。
[申請時に必要となる書類]

  • 年金請求書
  • 戸籍謄本や住民票など
    生年月日について明らかにすることができるもの
  • 受取先金融機関の通帳
    カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳又はキャッシュカード(コピー可)
  • 印鑑

老齢年金の支給停止

65歳未満で在職し厚生年金の被保険者となっている場合、標準報酬相当額に応じて年金額が支給停止となる場合があります。上記「60歳以上65歳未満の在職老齢年金」を参照下さい。

スポンサーリンク
投稿本文(h2)