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フォームコントロールを活用して昇給・昇格の為の「人事評価シート」を改定した。

2019年3月、「キャリアパス要件を満たす人事評価制度と評価シートの作成」で人事評価シートを公開しました。公開したシートは実際に、平成30年4月1日から平成31年3月31日を評価期間として評価を実施して、平成31年4月度の昇給・昇格に反映しました。3月中に「人事評価シート」を配布して、平成31年4月末までに結果を提出頂き、平成31年6月度の給与から遡って給与へ反映しています。

今回、「人事評価シート」を使ってみてわかった以下の課題点を改善して、「人事評価シート」を改訂しましたので公開します。
[1].Excelへの転記を簡略化
評価対象の全員がPCを保有しているわけではなく、又PCの扱いも慣れていない方も多い為、評価シートの配布は紙(ペーパー)で行っています。その為、回収した結果(約25名)をあらためてExcelの評価シートに入力しなければなりません。手書きで記入されている1シートの評価項目(約50項目)に、3名の評価者が付けた評価点数(本人評価、一次評価、二次評価)を転記していきます。数字の転記で時間がかかり、ミスが発生しやすい。
<対策>
フォームコントロールのオプションボタンを利用して、数値の転記ではなく、クリックのみで転記ができるようにしました。
[2].評価基準の変更
評価基準は、「4:基準を上回っていた」,「3:完全にできた」,「2:概ねできた」,「1:少しできた」,「0:全くできなかった」の5段階評価であったが、「4:基準を上回っていた」が特に「付けにくい」との声が上がった。
<対策>
評価基準は、単純に「a:このような行動がよくみられる」,「b:このような行動がたまに見られる」,「c:このような行動は殆ど見られない」の3段階評価として、1つの評価項目に対して3つの質問を投げかけ、その分布で評価する仕組みとした。

変更した評価基準


留意:
この評価の仕組みは、岸和田市の「人材育成型の人事考課制度」の中の能力効果シートの計算方法を参考としています。

[3].評価理由と根拠の記入
たとえば、「3:完全にできた」と評価された方が何を根拠として「3:完全にできた」と評価しているのか?又、「0:全くできなかった」のは何が理由なのか?を評価者は面談時に確認した上で評価しなければならないが、シフト制でコミュニケーションがとりづらい業界の為、その機会が多くなく、本人評価がそのまま最終評価となる傾向がある。

<対策>
本人効果の考課理由や根拠を記述して頂くようにした。

追加した本人効果の考課理由や根拠

本人効果の考課理由や根拠は、評価者が「なるほどa考課だね。」と納得できれば良いので、記述がなければ「a考課とは認められない。」という訳ではなく、記述しずらい内容であれば、評価者に口頭で、意欲やその自信をPRして評価者が認めればOKという扱いです。但し、最も納得できるものは、具体的な行動であり、目に見える記録・数値であり、形のある成果物です。このような誰もが認めることのできる成果を残しましょう。

[ 更新履歴 ]
2021.04.18
ネットショップ「ストアーズstores」で、「レイダーチャートの作成方法」の動画をUPしました。有償での販売となりますが、よければご購入をお願いします。→無料としました。
2021.04.21
ネットショップ「ココナラ」で、「人事評価シートv2.0」のexcelシートをダウンロード販売することとなりましたので、よろしくお願い致します。
2021.11.20
有償で販売しておりました「レーダーチャートの作成方法」の動画は、無料での公開としましたので、ご参照下さい。
2022.04.22
「二次考課者の有無の選択方法」、「最終考課の選択機能」を追加して「人事評価シートv3.0」にバージョンアップしております。

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評価シートの構成

構成全体

評価シートは「基本情報シート」、「入力シート」、「コミュニケーションシート」で構成されます。
注意:
コミュニケーションシートは、3-4等級では「業績評価シート」がありますが、1-2等級では「レーダーチャート」のみとなります。

人事評価シートの全体構成

基本情報シート

評価対象者の氏名、職種、等級、入社年月日等を設定するシートで、全ての対象者が同一のシートです。
※パートタイマーの人事評価シートは、今回より1-2等級の評価シートと同じとしました。

人事評価シートの基本情報シート

入力シート

入力シートは「基本コンピテンシー」と「職務コンピテンシー」で構成され、「基本コンピテンシー」は等級に関わりなく同一ですが、「職務コンピテンシー」は、1-2等級と3-4等級とでは、一部コンピテンシーの考課項目が異なります。

3-4等級

3,4等級の入力シート

1-2等級

1,2等級の入力シート

コミュニケーションシート

コミュニケーションシートは、3-4等級には「業績評価」を記入するシートがありますが、1-2等級にはありません。

3-4等級

3,4等級のコミュニケーションシート

1-2等級

1,2等級のコミュニケーションシート

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評価シートの配点

3-4等級

3等級及び4等級は、行動評価(基本コンピテンシー+職務コンピテンシー)80点、業績評価20点の合計100点満点です。

3,4等級の評価点の計算式

行動評価(80点満点)

行動評価の評価点

業績評価(20点満点)

業績評価の評価点と評価シート

1-2等級

1等級及び2等級は、行動評価として基本コンピテンシー50点、職務コンピテンシー50点の合計100点満点です。

1,2等級の評価点の計算式

行動評価(100点満点)

行動評価の評価点

行動評価の評価点と評価シート

評価シートの作成

基本情報シート

シート名=入力シート_基本情報として、基本情報シートを作成します。
※基本情報シートは、3-4等級、1-2等級ともに、タイトルを変えるのみで同一です。

人事評価シートの基本情報シート

以下は、シートの設定情報です。(使用するプリンタによりポイントは調整願います。)

入力シート

シート名=入力シート(コンピテンシー)として、「基本コンピテンシー」と「職務コンピテンシー」のシートを作成します。1ページ毎、計2ページで作成します。
※入力シートのフォームは、3-4等級、1-2等級ともに同一ですが、「職務コンピテンシー」は、1-2等級と3-4等級とでは、一部コンピテンシーの考課項目が異なります。

以下は、シートの設定情報です。(使用するプリンタによりポイントは調整願います。)

オプションボタンの挿入

入力シートが完成したら、評価項目にオプションボタンを挿入します。
※オプションボタンの挿入方法については、別ブログ「Excelフォームコントロールのオプションボタンの挿入方法」を参照下さい。

「Excelのオプションボタンの使い方(動画)」は、こちら

①オプションボタンの挿入箇所

「本人考課」、「1次考課」、「2次考課」の各着眼点a,b,cにオプションボタンを挿入して、クリックするだけで選択できるようにします。

②リンクするセルの指定

リンクするセルの指定を行い、選択№を表示させます。つまりこの選択№により、考課点を自動算出するように関数設定します。
※関数設定が終わりましたら、選択№は文字色を白にして見えない様にします。(入力シートの入力項目ではない為)

入力シートの完成

「基本コンピテンシー」及び「職務コンピテンシー」の入力シートの完成です。「本人考課」、「1次考課」、「2次考課」の各a,b.cの評価項目がオプションボタンで選択できるようになりました。次は選択№によって、自動的に考課点を算出する為の「関数設定」を行います。

注意:
入力シートは、オプションボタンの挿入後は、セルの大きさを変更したり、行や列の追加・削除などは避けて下さい。オプションボタンのオブジェクトがづれてしまい、修正等が難しくなります。そこで、入力シートは、オプションボタンを挿入する前にしっかりとレビューする様にして下さい。

コミュニケーションシート

コミュニケーションシートは、3-4等級では「レーダーチャート」と「業績評価シート」の2ページですが、1-2等級では「レーダーチャート」のみとなっています。

3-4等級

①レーダーチャート(1ページ目)

②業績評価(2ページ目)

以下は、シートの設定情報です。(使用するプリンタによりポイントは調整願います。)

シートの設定表

1-2等級

1,2等級のコミュニケーションシート

以下は、シートの設定情報です。(使用するプリンタによりポイントは調整願います。)

コミュニケーションシートの設定表

関数の設定

基本情報シート

基本情報シートの入力で、必要な関数を設定します。

基本情報シート

本人所属

リストから、所属部門を選択できるようにします。「データ」タグの「データ入力規則」で、以下のように設定します。

本人所属の関数設定画面

本人氏名、一次評価者氏名、二次評価者氏名

手入力とします。

職種・職務、等級、勤務形態

リストから、選択できるようにします。「データ」タグの「データ入力規則」で、以下のように設定します。

職種・職務、等級、勤務形態の関数設定画面

号棒

手入力となりますが、入力された数値に゛号棒゛の文字を付して表示する為に、以下のように設定します。

号棒の関数設定画面

入社年月日

手入力となりますが、表示形式は和暦とします。

入社年月日の関数設定画面

勤続年数

関数を設定して、自動計算します。
※自動計算する為に、シート上に基準日を入力します。

基準日を変更した人事評価シートのヘッダー部

関数は、以下の通りです。

関数設定された基本情報シート

評価期間(開始)と、評価期間(終了)

手入力となりますが、表示形式は和暦とします。

評価期間の関数設定画面

入力シート

入力シート(コンピテンシー)の入力で、必要な関数を設定します。

関数設定のない入力シート

[ 考課の算定方法(本人考課、1次考課、2次考課)]
考課項目の3つのa,b,cの配点の分布により、考課点を付与します。

考課の算定表

例:
職務遂行力の着眼点1,2,3の3つの配分が、aとbとcの場合は3点となります。
職務遂行力の着眼点1,2,3の3つの配分が、bとcとbの場合は2点となります。

[ 考課点の算定方法 ]

考課の算定式

関数設定の前の準備

入力シートへの関数設定には、「リンクするセル」の選択№を利用しますので、白文字で非表示となっている選択№を黒文字に変えて見える様にします。

表示に切り替えた「リンクするセル」画面

本人考課

本人考課の関数設定画面

1次考課

1次考課の関数設定画面

2次考課

以下の例では、2次考課はおこなっていないが、関数設定は以下の通り

2次考課の関数設定画面

平均考課

平均考課の関数設定画面

考課点

考課点の関数設定画面

合計点

①基本コンピテンシー

基本コンピテンシーの合計点の関数設定画面

②職務コンピテンシー

職務コンピテンシーの合計・総合計欄の関数設定画面

コミュニケーションシート

コミュニケーションシートの入力で、必要な関数を設定します。

ヘッダー部

コミュニケーションシートのヘッダー部

ヘッダー部の関数設定

考課項目

考課項目は、入力シートの「考課項目」を、各コンピテンシーごとに入力します。

考課項目の入力画面

点数一覧

点数一覧の関数設定

※他の考課項目の評価も同様に設定します。点数一覧の合計欄の説明は省略します。

レーダーチャートの作成

レーダーチャートの作成については、別項「レーダーチャートの作成」で説明します。

業績評価

業績評価の関数設定画面

・自己評価:手入力となります。
・一次評価:手入力となります。
・二次評価:手入力となります。
・達成目標:4.0で設定しています。
・ウェイト:1.0又は2.0で設定しています。

総合評価

総合評価の関数設定画面

レーダーチャートの作成(動画)

「Excel_レーダーチャートの作成方法(動画)」は、こちら

レーダーチャートの作成

[ 作成前 ]

レーダーチャート作成前のコミュニケーションシート

[ 作成後 ]

レーダーチャート作成後のコミュニケーションシート

レーダーチャートの作成方法

グラフの対象範囲の選択

マウスを左クリックしたまま、対象範囲を選択します。

グラフの対象範囲の選択画面

レーダーチャートの選択

「挿入」タブから「すべてのグラフを表示」をクリック

挿入タブを選択したexcelのメニュー

「すべてのグラフ」タブをクリック

「すべてのグラフ」タブをクリックして、「レーダー」を選択します。

「すべてのグラフ」タブの「レーダー」を選択した画面

「マーカー付きレーダー」をクリック

「マーカー付きレーダー」を選択して、「OK」を押下すると、グラフが表示されますので、グラフを正しい位置へ移動させます。

「マーカー付きレーダー」をクリックした画面

グラフの位置、大きさの調整

グラフの位置、大きさの調整画面

「データの選択」をクリック

グラフ内をクリックすると、「グラフツール」タブが表示されますので「データの選択」をクリックします。

「グラフツール」タブから「データの選択」をクリックした画面

①自己評価の設定

「系列1」を選択して「編集」をクリックします。系列1は、「育成目標」に設定されていますので、これを「自己評価」に変更します。

自己評価の設定画面推移

※系列値(V)は、「自己評価」欄の点数を範囲指定します。

②一次評価の設定

「一次評価」は、系列が設定されていませんので、設定を追加します。

一次評価の設定画面推移

※系列値(V)は、「一次評価」欄の点数を範囲指定します。

③二次評価の設定

「二次評価」は、系列が設定されていませんので、設定を追加します。

二次評価の設定画面推移

※系列値(V)は、「二次評価」欄の点数を範囲指定します。

④育成目標の設定

「育成目標」は、系列が設定されていませんので、設定を追加します。

育成目標の設定画面推移

※系列値(V)は、「育成目標」欄の点数を範囲指定します。

⑤横軸ラベルの追加

[自己評価]

横軸ラベルの「編集」をクリックして、軸ラベルの範囲を正しく指定します。
※初期設定では指定範囲が異なってますので正しく指定し直します。

横軸ラベルの自己評価の設定画面推移

[一次評価、二次評価、育成目標]

各系列の横軸ラベルの「編集」をクリックして、軸ラベルの範囲が正しく指定されているかを確認して下さい。
※「自己評価」の軸ラベルの修正で、各系統も修正されるはずですが、念のため、確認して下さい。

エクセルのバグ対策

EXCELのバグで、グラフの軸が表示されない為の対応策を実施します。片方の対応策でできない場合は、「対応策1」及び「対応策2」の両方を行って下さい。

対応策1

「グラフツール」の「デザイン」タブから「グラフ要素を追加」をクリック、さらに、「軸」を選択して、「その他の軸のオプション」をクリックします。表示された項目から「目盛の種類」で「内向き」を指定します。

「その他の軸のオプション」の目盛の設定画面

次にグラフの種類を一旦「マーカー付きレーダー」から「塗りつぶしレーダー」に変更した後、再度、「マーカー付きレーダー」に戻します。

グラフの種類の選択画面

対応策2

「グラフツール」の「デザイン」タブから「クイックレイアウト」を選択して、「レイアウト1」を選びます。すると軸が表示されます。

クィックレイウトの選択画面

レーダーチャートのレイアウト

レーダーチャートの線種の説明を下に移動させます。

レーダーチャートのグラフタイトルの設定画面

※このレーダーチャートでは、グラフタイトルは不要なので削除します。
(チェックボックスの☑を□にすれば、タイトルは表示されません。)

レーダーチャートの完成

「職務コンピテンシー」も同様にして、レーダーチャートを作成して完成です。

レーダーチャートの完成画面