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時季を記入する欄を追加して、有給休暇管理表(excel)を改定した

2019.02.21のブログ「有給休暇5日の取得義務付けに伴い、有給休暇管理表(excel)を作成した。」で公開した「有給休暇管理表(excel)」を改定しましたので、公開します。混同しない為に、前回の有給休暇管理表をV1.0とすると、今回の改定した有給休暇管理表はV2.0として公開します。V1.0との違い、そしてV1.0からV2.0への移行の仕方、V2.0の実際の運用について説明しますので、ご活用下さい。
[ 更新履歴 ]
2021.03.12 有給休暇の消滅時効について、具体的な解説を加筆した。
2021.03.30 「有給休暇日数付与の留意点」を加筆した。

V3.0を開発しました。V3.0は、こちら↓

V1.0は、こちら↓

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有給休暇の管理

説明の前に、有給休暇の管理について、復習しておきます。

有給休暇の付与

労働基準法39条では年次有給休暇の付与は業種や業態、正社員、パートタイム・アルバイトといった労働者区分に関係なく、要件を満たせば年次有給休暇の付与が義務づけられています。

通常の労働者

通常の労働者(正社員)には、雇い入れの日から起算して勤続勤務年数ごとに、勤続勤務年数に応じた年次有給休暇日数を付与しなければいけません。

通常の労働者の勤務年数別付与日数表

全労働日の8割以上の出勤という条件を満たすと、雇用した日から6ヶ月後に10日付与されます。その後の1年間で同様に8割以上の出勤という条件を満たすと、継続勤務1年6ヶ月で11日の付与となります。翌年の継続勤務2年6ヶ月では12日、それ以降は毎年2日ずつ増えていき、6年6ヶ月以降の条件を満たした年は、年次有給休暇の付与は一律20日 となります。

パートタイマー

パートタイム・アルバイトの労働者には、週所定労働日数4日以下かつ週所定労働時間30時間未満の場合、以下の年次有給休暇日数が付与されます。付与日数は、週所定労働日数と勤続年数を基準に変わります。

パートタイマーの勤務年数別付与日数表

パートタイムやアルバイト等、所定労働日数が少ない労働者も出勤率等の条件を満たすと、年次有給休暇が比例的に付与されます。たとえば、所定労働日数が週3日の場合、継続して6ヶ月勤務すると5日、1年6ヶ月の勤務で6日であり、6年6ヶ月での11日が限度として付与されます。

[ 有給休暇日数付与の留意点 ]
1週間の所定労働日数が4日以下且つ、所定労働時間が30時間未満の労働者は、基準日における所定労働日数に応じて付与される年次有給休暇の日数が決まり、週以外の期間によって所定労働日数が決められている労働者の場合は、1年間の所定労働日数が216日以下且つ、1週間の所定労働時間が30時間未満であれば、比例付与の対象となります。
つまり、以下のような場合は、比例付与の対象とはならず、通常の労働者と同じ日数の年次有給休暇を付与しなければなりません。
・1週間に所定労働時間30時間以上(労働日数に関わりなく、通常の労働者と同じ)
・1週間に所定労働日数5日以上
・1年間に所定労働日数217日以上

例:
週4日、1日8時間勤務の場合
所定労働日数は5日未満だが、週30時間以上勤務の為、有給休暇10日以上付与

週5日、1日3時間勤務の場合
所定労働時間は30時間未満だが、週5日以上勤務の為、有給休暇10日以上付与

※週4日勤務であっても、週30時間以上勤務の場合は、有給休暇管理表の週労働日数欄には、週5日と設定して運用します。

有給休暇の取得義務付け

2019年4月から年10日以上の年次有給休暇を付与される従業員については、最低5日以上の有給休暇を取得することが義務づけられました。

有給休暇の消滅時効

有給休暇がその年次で取得できず残った場合でも、翌年度に繰り越すことができます。が、さらに翌年度への繰り越しはできません。つまり、発生から2年で消滅してしまいます。

労働基準法第155条

例えば、2015年10月1日に入社したAさんは、6ヶ月後の2016年4月1日に10日の有給休暇が、付与されます。そして、1年後の2017年4月1日には、11日が付与されます。つまり2017年4月1日には10日+11日=21日分の有給休暇が残っています。さらに有給休暇の消化をせずに1年経過して2018年4月1日になると、12日が付与されます。が、有給休暇の有効期限が2年の為、最初の10日間が消滅してしまいますので11日+12日=23日が、有給休暇の残となります。

有給休暇の消滅時効を説明する表

有給休暇の消化の順番

有給休暇の消化の順番については、労働基準法に決まりはありません。

民法488条第1項

繰越分から消化するか?付与分から消化するか?は、会社が就業規則等で明示していない場合に、労働者は繰越分から消化することを指定できます。使用者も労働者も指定しない時は、使用者にとって有利な本年度分からの消化となります。有給休暇管理表では、労働者に有利な繰越分からの消化としています。

2017年4月1日から2018年3月31日までの間(有給休暇が21日残っている)で、5日間の有給休暇を取得した場合、繰越の有給日数は何日となるのでしょうか?

①繰越分から消化

諸葛孔明さん、正社員、週5日勤務

繰越分から消化する消滅時効を説明する表

2017年6月に5日の有給を消化した場合は、繰越分(0.5年目の有給付与分)10日から5日間が控除された上で、その残り5日分は時効により消滅します。よって付与分(1.5年目の有給付与分)11日は、そのまま繰り越されますので、2.5年目の有給付与分12日を加算して、当月有給残は23日となります。

②付与分から消化

諸葛孔明さん、正社員、週5日勤務

付与分から消化する消滅時効を説明する表

2017年6月に5日の有給を消化した場合は、先に付与分(1.5年目の有給付与分)11日から控除される為、まず繰越分(0.5年目の有給付与分)の10日が時効により消滅します。それから付与分(1.5年目の有給付与分)11日から5日間が控除され、残り6日と2.5年目の有給付与分12日を加算して、当月有給残は、18日となります。

有給休暇管理簿の作成

「年次有給休暇管理簿」は、労働基準法施行規則第24条の7に規定されています。

労働基準法施行規則第24条の7

基準日を統一して管理する。

年次有給休暇の管理は、個別に管理する方法と、統一して管理する方法があります。個別に管理する方法では、年次有給休暇の発生日がそれぞれ異なる為、煩雑となります。統一して管理する方法では、統一日を決めて一斉に年次有給休暇を休暇を付与しますが、勤務期間を切り捨てることは認められていません。
たとえば、4月1日を基準日とした場合では、1月1日に入社した人は6ヶ月経過していませんが、10日の年次有給休暇を付与することになります。弊社では初回のみ原則通り入社日から6ヶ月後に付与しますが、2回目以降は直近の「4月1日」に付与して、以降、毎年同じように「4月1日」に付与する基準日を統一した管理を行っています。有給休暇管理表では、個別に管理することも、統一して管理することもできます。

excelシート(電子データ)で作成する。

作成が義務付けられている「年次有給休暇管理簿」は、紙媒体である必要はなく、印刷できる状態で、あればパソコンで作成・保存しても問題はありません。

留意:
有給休暇管理簿を作成しなかった場合の罰則はありません。が、労働者保護の観点から個人別にしっかりと管理することが必要です。

有給休暇の残が確認できる様にする。

有給休暇が残り何日あるか?消化しなければ消滅してしまう有給は何日あるのか?はみんなの知りたい情報です。そこで、給与計算の後、有給休暇申請書によって、個人毎に更新した「有給休暇管理表」は、ポータルサイト(Web)にPDFでUPして、いつでも確認できる様にします。

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有給休暇管理表の改定

有給休暇管理表では、基準日と取得日数を記録することで、有給休暇の残日数等を管理し、時季(消化した日)については、労働者からの原紙としての有給休暇申請書を個人毎に綴じることで、運用していましたが、法律で求められている通りに、時季の欄を設けることとしました。

労働基準法施行規則第24条の7
  • 基準日:労働者に年次有給休暇を付与した日
  • 日数 :基準日から1年の間に、労働者が取得した年次有給休暇の総日数
  • 時季 :労働者が実際に年次有給休暇を取得した日付

注意:
改定前のフォームであっても制度趣旨から、有給休暇申請書の原紙があり有給休暇の消化日が特定できれば問題はありません。

改定内容

従来のフォームに時季(労働者が実際に年次有給休暇を取得した日付)を記入できる欄を追加しました。

改定前

基準日、日数欄はありましたが、時季(労働者が実際に取得した年次有給休暇を取得した日付)を記入する欄はありませんでした。(有給休暇申請書の原紙を保管)

改訂前の有給休暇管理表のシート

改定後

時季(労働者が実際に年次有給休暇を取得した日付)を記入できる欄を追加しました。

留意:
設定している関数等に変更はありません。時季欄は日付を手入力する為のフィールドとなります。1年間で取得した消化日付を上下2段の計20日間記入できます。

旧フォームからの移行

旧フォーム(有給休暇管理表V1.0)から、新フォーム(有給休暇管理表V2.0)への移行は、コピペできませんので、丸ごと差し替えて頂く必要があります。つまり、既に旧フォームでお使いの場合は、旧フォームの有給休暇管理表を印刷して頂き、新フォームに転記することとなります。

有給休暇管理表の印刷

既に旧フォームで運用している場合は、内容を新フォームへ転記する為に旧フォームで管理しているスタッフ毎に有給休暇管理表を印刷します。

印刷された改訂前の有給休暇管理表

注意:
入社が平成27年7月1日の場合、6ヶ月後は平成27年1月1日となるはずでが、平成27年11月1日となっているのは、経営者が変わり、前から在籍していたスタッフも新会社への入社となる為、有給休暇がゼロとなります。そこで労働者保護を目的として、同時期に在籍していたスタッフ全員、平成27年11月1日をもって6ヶ月経過と見做し、一律10日を付与した為です。こんな箇所で悩まれるといけませんので、蛇足ですが説明しておきます。

新フォームの「シートの追加」をクリック

新フォームをダウンロードして差し替えたら、新フォームを起動して、「シートの追加」をクリックします。
注意:新フォームの差し替えにあたっては、必ず旧フォームのバックアップを取って下さい。

シートを追加した改定後の有給休暇管理表

「シートの追加」をクリックすると、新しいシート(new_sheet(2))が作成されますので、旧フォームで印刷した「有給休暇管理表」を見ながら、スタッフ毎に新しいシートで「有給休暇管理表」を完成させます。

旧フォームより転記

印刷した旧フォームの有給休暇管理表を見ながら、新フォームに転記します。転記する内容は、基本的には以下のA,B,Cとなります。(他は自動的に計算されます。)
但し、基準日を統一して管理している場合は、「有給発生日」の変更が必要となり、入社後に週労働日数が変更となった場合は、週労働日数の変更が必要となります。

注意:
変更の方法については、゛有給休暇年5日の取得義務付けに伴い、有給休暇管理表(excel)を作成した。゛を参照願います。

転記箇所を示した改訂前の有給休暇管理表

①社員番号、氏名、入社日を入力

社員番号、氏名、入社日を入力した改定後の有給休暇管理表のシート

②週労働日数を入力

基準日を統一している場合は、ここで基準日を変更します。

週労働日数を入力した改定後の有給休暇管理表のシート

③消化日数を入力

消化日数を入力すると、これで旧フォームと同一となります。そこで、次に時季の欄を入力して、新フォームの有給休暇管理表を完成させます。

消化日数を入力した改定後の有給休暇管理表のシート

④時季欄の入力>

後は、毎月、給与計算時に各スタッフより提出された「有給休暇申請書」から時季を転記して、有給休暇管理表を更新します。

時季を入力した改定後の有給休暇管理表のシート

新フォームの有給休暇管理表の完成

これで、基準日、日数、時季の記載された有給休暇管理表の完成です。

完成した改定後の有給休暇管理表のシート

注意:「15029小野小町」さんのシートは、サンプルなので削除します。

有給休暇管理表の更新

更新の為の準備

有給休暇申請書の準備

給与計算の為に「出勤簿」と共に提出された「有給休暇申請書」を用意します。

有給休暇申請書

給与明細書の準備

有給休暇の申請のあったスタッフの給与明細書を準備します。

給与明細書

有給休暇管理表の起動

「有給休暇管理表.xlsm」のクリック

「有給休暇管理表.xlsm」を起動します。

注意:ここでは、マイドキュメントの「有給休暇の管理」フォルダに格納しています。

フォルダ内の有給休暇管理表.xlsm

更新対象の選択

「有給休暇管理表」は、シートを社員番号順に並べておくとすぐに見つけられて便利です。

スタッフ名シートの並んだ有給休暇管理表

留意:
左端下部で右クリックすると、全てのシートが表示されますので、一発で該当のシートを見つけられます。

スタッフ名シートの並んだウィンドウ

有給休暇の更新

ここでは、1月度給与(2月15日支給)計算時の本阿弥光悦さんと、小野小町さんを例として、有給休暇管理表の更新の仕方を説明します。弊社は、給与の締めが末締めの翌15日払いとなっていますので、提出される有給休暇申請書は、1月度分となります。(1月度に有給を取得した日)

本阿弥光悦さんのケース

①シート(有給休暇管理表)の選択

本阿弥光悦さんのシートを選択して表示します。
現在(2021.02.10)、有給休暇の残は、7.5日となっています。期首(令和2年4月1日)時点で19.5日あった有給休暇は、令和2年12月31日までに12日間を消化して、残り7.5日となっています。

本阿弥光悦さんの有給休暇管理表のシート

②有給休暇申請書の確認

本阿弥光悦さんは、1月度(令和3年1月1日から令和3年1月31日)は、3日間の有給休暇を取得しています。つまり、1月度の1ヶ月間の消化日数が3日ということです。

本阿弥光悦さんの有休休暇申請書

③シート(有給休暇管理表)の更新

本阿弥光悦さんのシートの消化日数欄に、1月度の消化日数3日を加算します。12日だった消化日数を3日を加算した15日に書き換えます。そして、時季欄に消化した日付(1月1日、1月11日、1月31日)を入力します。

時季欄を大きく示した本阿弥光悦さんの有給休暇管理表シート

④給与明細書の有給残と突合せ

更新した「有給休暇管理表」の期末残高が、給与明細書の「当月有給残」と一致するかを確認します。
注意:弊社では、給与明細書に有給残を印字する様にしていますので、突き合わせをおこなっています。

当月有休残の印刷された本阿弥光悦さんの給与明細書

小野小町さんのケース

①シート(有給休暇管理表)の選択

小野小町さんのシートを選択して表示します。
現在(2021.02.10)、有給休暇の残は、12.5日となっています。期首(令和2年3月15日)時点で12.5日あった有給休暇は、令和2年12月31日までに全く有給を消化していない為、そのまま12.5日となっています。

小野小町さんの有給休暇管理表のシート

②有給休暇申請書の確認

小野小町さんは、1月度(令和3年1月1日から令和3年1月31日)は、半日(0.5日間)の有給休暇を取得しています。つまり、1月度の1ヶ月間の消化日数が0.5日ということです。

小野小町さんの有給休暇申請書

③シート(有給休暇管理表)の更新

小野小町さんのシートの消化日数欄に、1月度の消化日数0.5日を加算します。未消化で0日だった消化日数に0.5日を加算した0.5日に書き換えます。そして、時季欄に消化した日付(1月8日)を入力します。半休なので、文字色を変えています。

時季欄を大きく示した小野小町さんの有給休暇管理表シート

④給与明細書の有給残と突合せ

更新した「有給休暇管理表」の期末残高が、給与明細書の「当月有給残」と一致するかを確認します。
注意:弊社では、給与明細書に有給残を印字する様にしていますので、突き合わせをおこなっています。

当月有休残の印刷された小野小町さんの給与明細書

有給休暇管理表の保管

有給休暇管理表の印刷

毎月、給与計算の為に提出された「有給休暇申請書」と当該「有給休暇申請書」によって更新された「有給休暇管理表」は印刷して、個人毎にファイルに保管します。
ここでは、更新された「本阿弥光悦」さんと、「小野小町」さんの有給休暇管理表のシートを印刷します。

印刷された小野小町さんと本阿弥光悦さんの有給休暇管理表シート

有給休暇管理表の保管

印刷した更新済みの「有給休暇管理表」は、「有給休暇申請書」と共に個人毎に保管します。

有給休暇管理表を保管するバインダーのイラスト

有給休暇管理表のダウンロード販売

有給休暇管理表のExcelシートをBASEのGUNGII-BASEよりダウンロード販売することとなりました。有給休暇管理表V3.0を収録しています。
※画像をクリックすると商品説明が表示されますので、商品をカートに入れて頂きご購入下さい。