「年金請求書」は、亡くなった方や遺族年金を請求する方の情報、亡くなった方の公的年金制度の加入経過などを記入する用紙です。お近くの年金事務所および街角の年金相談センターの窓口に備え付けてあるほか、日本年金機構のホームページからダウンロードもできます。今回は、遺族厚生年金請求書(様式105号)の書き方について説明します。正式名称は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」で、ここでは老齢厚生年金を受けていた方が亡くなられて、一緒に生活していた配偶者(ご本人も厚生年金を受けている)が、遺族年金を請求するケースで解説します。尚、遺族年金を受給する権利には、基本的に「権利が発生してから5年経過すると消滅する」という時効があります。被保険者が亡くなって5年以上経ってから年金を請求した場合、5年より前の支払い分の年金が受給できない可能性がありますので、早めに手続きをするようにしましょう。
年金請求書の構成
「日本年金機構」のホームページからダウンロードした年金請求書は、12ページからなり、1から9ページまでを提出します。(委任をしない場合)
年金請求書の書き方
1ページ目
ここでは、亡くなった方や請求される方の氏名、住所等、年金の振込先、生計を同じくしている子について記載します。
亡くなった方について確認する欄
死亡した夫の基礎年金番号を年金証書または年金手帳から転記します。生年月日、氏名、フリガナを記入、性別に〇をつけます。
請求者について確認する欄
次に請求者である妻の個人番号(又は基礎年金番号)生年月日、氏名、フリガナ、続き柄を記入、性別に〇を書きます。住所の〒番号、住所、電話番号を記載します。
年金受取口座を確認する欄
振込を予定している金融機関の通帳を出し、年金受取機関の1か2に〇をつけ、口座名義人の氏名、フリガナを記載。銀行名、支店名、預金の種別、口座番号を記載します。
加算額の対象者を確認する欄
加算額の対象者は、誰もいませんので、何も記載しません。(亡くなった方と生計を維持されていた配偶者以外に18歳未満の子供がいた場合等に記載します。)
3ページ目
ここでは、請求される方の年金の受給状況と、亡くなった方の年金の加入履歴について記載します。
請求される方の年金受給状況について記載する欄
今回の設定では、老齢年金を受けていますので、「受けている」に〇をつけ、その下の「公的年金制度名」の欄には、年金証書を確認して「ア、イ」と記載し、「年金の種類」は「老齢」と記載。「年月日」はわからない場合は、空白として年金事務所で教えてもらいます。「年金証書の年金コード」は「1150」と記載します。
亡くなった方の年金加入履歴を記載する欄
亡くなった方の年金加入履歴を古い順に記載します。事業所の所在地や当時の住所は、詳しくはわからない時でも群市区名までは記載します。加入していた期間も、詳しくわからない時でも、年月或いは何年の夏とか冬といった様に記載します。事業所等の名称を記載する欄は、加入していた年金制度が国民年金の時は、記載は不要です。厚生年金保険に加入していた場合は、会社名だけでなく、支店・工場名についても記載します。
- 年金請求書を年金事務所に持参する場合
年金事務所に訪問する場合は、この「加入履歴」の欄は、何も書かずに提出します。
年金事務所の窓口で「亡くなった方(ここでは夫)の加入履歴」をプリントアウトしてくれますので、確認して間違えないようでしたら、「被保険者記録の履歴は、これに相違ありません」というゴム印を押してくれますので、そこに署名・捺印すればOKです。 - 年金請求書を郵送する場合
郵送する場合は、以下のように記載します。(履歴は、「年金ネット」を見て記載しています。)
5ページ目
ここでは「亡くなった原因」,「亡くなった方の年金の受給状況」,「年金以外の給付との調整」「遺族年金を受け取る為の要件」について確認します。
亡くなった原因等を記載する欄
死亡診断書のコピーを見て記入します。死亡した夫の生年月日と住所を記載します。死亡年月日と死亡原因の病名を死亡診断書のコピーと同じ病名を書きます。(4)傷病又は負傷の発生した日は、具合の悪くなった時期を書き、(5)傷病または負傷の初診日は初めて病院にかかった日を書きます。((5)欄は、医師の診断を受けていない場合は記載不要)(7)欄で、「1.はい」となるのは交通事故で死亡したような場合です。(6)死亡の原因である傷病又は負傷の発生原因は、不明であれば空白でかまいません。(9)欄は、夫が死亡した場合は妻は法定相続人となりますので、「1.はい」となります。
亡くなった方の年金の受給状況について記載する欄
(10)欄は、年金制度の被保険者でしたので、「国民年金法」と「厚生年金保険法」に○を付けます。年金をうけていましたので(11)欄は「1.はい」に○を付けます。制度名は「厚生年金」と記載し、基礎年金番号及び年金コード(1150)を記入します。
年金以外の給付との調整を確認する欄
死亡の原因は、業務上(仕事上)とは関係ありませんので、全て、「2.いいえ」に○を付けます。
遺族年金を受け取る為の要件を確認する欄
(15)のア.死亡時厚生年金の被保険者(在職中)ではありませんので、「2.いいえ」に〇。
(15)のイ.資格喪失後、初診日から5年以内に死亡していませんので、「2.いいえ」に〇。
(15)のウ.障害年金を受けていませんので、これも「2.いいえ」に〇。
(15)のエ.平成29年7月まで、老齢厚生年金の受給権者でしたので、「1.はい」に〇。
(15)のオ.納付済み期間、免除期間、合算対象期間を合わせて25年以上で、「1.はい」に〇。
(16)は共済組合(公務員など)に加入したことがある人が対象ですので、ここは、何も記載しません。
以上で3枚目(5ページ目)は終了です。
7ページ目
遺族厚生年金を受けるためには、亡くなった方によって「生計を維持されていた」ことが条件となります。よって、ここでは生計維持関係について確認します。
ここでは、妻が生計を維持されていますので、「生計同一関係」欄に、提出年月日、請求者である妻の住所と氏名を記入して、右の請求者欄に「良子」、「妻」と記入します。「収入関係」の欄には、「(1)請求者(名:良子)について年収は、850万円未満ですか。」は「はい」に〇をします。
これで、7ページ目は終わりです。
9ページ目
ここでは、亡くなった方と請求者の年金記録に漏れがないかの確認と、亡くなった方の受給資格期間等を確認します。
亡くなった方と請求者の年金記録に漏れがないか確認する欄
他に基礎年金番号と異なる記号番号はなく、請求書③欄の基礎年金番号も記載していますので、ここの欄は何も記載しません。
亡くなった方の受給資格期間等を確認する欄
ア.の欄の(1),(2),(3)は、該当する方のみ記載をします。恩給の他、旧法の年金を受けることができた時や、かなり高齢な戦争を経験された方などが対象となりますので、何も記載せず、(4),(5),(6)の箇所を全て「2.いいえ」に○をします。イ.の欄も、関係がありませんので、「2.いいえ」に○を付けます。
これで、年金請求書(遺族厚生年金)の書き方は終了です。